営業秘密関連ニュース

2020年7月9日
・ソフトバンク元社員有罪 東京地裁判決 ロシア人に情報漏洩(日経新聞)
・ソフトバンク元社員に有罪 機密情報を不正取得 不正競争防止法違反 東京地裁(毎日新聞)
・機密資料漏洩事件でソフトバンク元社員に有罪判決…東京地裁(読売新聞)
・ソフトバンク元社員に有罪 ロシア外交官に情報漏えい―東京地裁(JIJI.COM)
・ソフトバンクの機密情報不正取得、元社員に有罪判決 東京地裁(産経新聞)
・ソフトバンク元社員に有罪判決 ロシアへの機密漏洩事件(朝日新聞)

2020年7月8日
・<米国>米、中国製アプリ禁止検討 国務長官、情報流出を懸念(共同通信)
・<米国>中国が多様な米介入戦略、企業秘密盗み政策への影響狙う-FBI長官(Bloomberg)
・<米国>スパイ事件の半分、中国関与 コロナ研究も標的―米FBI長官(JIJI.COM)
・<米国>FBI長官、中国の「活発な情報活動」を警告 スパイ事案約5千件のうち半分が「中国絡み」(産経新聞)
・<米国>米FBI長官、中国スパイ行為「国民が大きな被害」 講演で具体例挙げ批判(毎日新聞)

2020年7月6日
・<韓国>韓国の自動運転技術、中国に渡ったか…KAIST教授、金もらい流出させた疑惑(中央日報)

2020年7月3日
・ソフトバンク機密情報漏洩事件 露通商部元幹部を不起訴処分 東京地検(産経新聞)
・ソフトバンク機密持ち出し、教唆容疑の露元外交官を不起訴…「再入国の見込みない」(読売新聞)
・ロシア元外交官を不起訴 ソフトバンク情報漏洩(日経新聞)
・ロシア元外交官を不起訴 ソフトバンク情報漏えい―東京地検(JIJI.COM)
・ロシア元外交官を不起訴 機密情報取得そそのかした容疑(朝日新聞)

2020年7月2日
・7月2日付、日本経済新聞の報道について(株式会社ディー・エヌ・エー)
・「大手が模倣」新興に不信感 チュートリアルとDeNA 協業、知財でトラブル(日本経済新聞)
・新興「大企業にマネされた」 協業で知財トラブル(日本経済新聞)

2020年7月1日
・顧客情報を漏えいした罪 百十四銀行の元行員2人に懲役1年と懲役8カ月を求刑 高松地検(瀬戸内海放送)

2020年6月30日
・「研究開発型スタートアップと事業会社のオープンイノベーション促進のためのモデル契約書ver1.0」を取りまとめました(経済産業省)

2020年6月29日
・<米国>経済スパイで有罪、15年に逮捕・起訴の中国人教授-米連邦地裁(bloomberg)

2018年7月23日月曜日

オープンイノベーションと秘匿化技術の開示、NDAの重要性

近年、「オープン&クローズ戦略」や「オープンイノベーション」という文言がもてはやされ話題になっています。

オープンイノベーションの定義については、人ぞれぞれかと思いますが、ざっくりとした私の理解では「他社等との共同開発や協力関係により自社だけではなし得なかったビジネス展開を進める」といったものです。一般的には、自社のみで技術開発等を行う自前主義(クローズドイノベーション)の対極に位置する考えとされています。

また経済産業省を中心として、オープンイノベーションに関する色々な資料が公開されています。下記に一部をリンクしますが、他にも多々あります。

NEDO:オープンイノベーション白書(第二版掲載 2018年6月)
経済産業省:オープンイノベーションと知財の管理・契約リスクに関する啓発パンフレットを公表しました(公表日 2018年6月)
経済産業省:「事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携のための手引き(初版)」をとりまとめました(公表日 平成29年5月18日)
近畿経済産業局:中小・ベンチャー企業のためのオープン・イノベーション ハンドブック(最終更新日:平成28年4月15日)


ここで、前回までのブログ記事で紹介したストロープワッフル事件ももしかしたら、オープンイノベーションを期待して原告が被告と提携関係を結ぼうとしたのかもしれません。

過去ブログ記事
-判例紹介- ストロープワッフル事件 その1 ビジネスモデルを営業秘密とすること 
-判例紹介- ストロープワッフル事件 その2 ビジネスモデルを営業秘密とすること

この事件では、原告はストロープワッフルの実演販売に十分な経験を有していなかったようですから、被告を取り込むことでこのストロープワッフルの実演販売をビジネスとして成功させようという目論見があったのではないかと想像します。
しかしながら、原告は被告との提携関係を結べず、逆に被告にストロープワッフルの実演販売のビジネス化の機会を与えただけになりました。

この事件において原告の決定的な失敗は、原告と被告との間の交渉段階において秘密保持契約(NDA)を締結していなかったことだと考えます。この事件ではたとえNDAを締結しても、原告のノウハウは有用性・非公知性を満たさず、営業秘密としての不正競争防止法による法的保護は受けられない可能性が高いかと思います。
しかしながら、締結するNDAの内容にもよりますが、原告と被告との間でNDAを締結することで、被告が実施したストロープワッフルの実演販売に対してNDAの契約不履行で民事的責任を負わせることが可能だったかもしれません。

上記事件のように、オープンイノベーションを行うにあたり、特に技術情報に関しては自社の秘匿化技術(ノウハウ)を他社に開示せざる負えない状態になることが多いかと思います。
これは当然のことと考えられ、オープンイノベーションにより新たな技術を導入したい企業にとって、この新たな技術は公知でない他社のノウハウである可能性が非常に高いからです。もし、必要な技術が公知技術であれば、オープンイノベーションをするまでもなく自社開発が可能でしょうから。
また、新たな技術を導入したい企業も、上記事件のように、オープンイノベーションにより協力関係を築く他社に自社の秘匿化技術を開示しなければならない可能性が有るかと思います。

このように、オープンイノベーションには他社に対して自社の秘匿化技術の開示が必要な場面があり、これは企業にとって非常にリスクの高いことかと思います。

しかしながら、オープンイノベーションを説明している資料には、情報開示リスクの視点がやや欠けているものが多いかと思います。
これに関して、上記の近畿経済産業局の中小・ベンチャー企業のためのオープン・イノベーション ハンドブックには情報開示リスクへの対応策が詳細に記載されています。すなわち、オープンイノベーションにおける秘密保持契約(NDA)の重要性についてです。また、経済産業省のオープンイノベーションと知財の管理・契約リスクに関する啓発パンフレットを公表しましたにもわかりやすく記載されています。

以上のように、オープンイノベーションを行うにあたり秘匿化技術の開示に関する意識が十分でないと、オープンイノベーションに関する交渉決裂後や終了後に他社に自社のノウハウを使用されるという思いもよらなかった事態に陥る可能性が考えられます。
このため、オープンイノベーションにおけるNDAの重要性を理解し、かつ必要以上に相手方に秘匿化ノウハウを開示しないことを心掛けるべきかと思います。

また、重要な自社技術については、特許権を取得することも当然に考慮しなければなりません。特許権を有していれば、相手方が許諾無く実施した場合には、NDAの締結に関係なく侵害となります。
特許権の取得のためには技術を公開する必要がありますので、公開する技術内容、すなわち特許出願明細書に記載する技術内容を十分に検討する必要があります。公開したくない技術は秘匿化です。

新たな技術を自社開発した場合、それをどのように管理するのか、具体的には特許出願するのか、秘匿化するのか、それとも何もしないのか、これらを当該技術を使用する場面を想像しながら常に選択する必要があります。

弁理士による営業秘密関連情報の発信