営業秘密関連ニュース

2019年6月20日
・金型業界、漏洩対策に「お墨付き」工業会、情報管理認証制度を年度内開始(Sankei Biz)
・技術等情報の管理に係る認証制度 (平成30年10月 経済産業省 製造産業局技術戦略室)
・重要技術マネジメント (経済産業省)

2019年6月14日
・製造業者のノウハウ・知的財産権を対象とした優越的地位の濫用行為等に関する実態調査報告書の公表について(公正取引委員会)
・知的財産の開示強要相次ぐ 大手企業が取引先に 公取が改善促す(NHK)
・大企業、下請けにノウハウ強要=悪質例含め730件-公取委が懸念(JIJI.COM)
・知財問題事例726件、公取委が製造業3万社調査 (日本経済新聞)
・知的財産でも「下請けいじめ」 ノウハウ開示迫られる/名ばかり共同研究 公取委調査 (朝日新聞)


2019年6月12日
・転職先に顧客情報持ち出し疑い(REUTERS)
・転職先に顧客情報持ち出し疑い 1300件、3人逮捕(東京新聞)
・旅行会社の顧客情報1200件競合他社に流す 男3人逮捕(カナロコ)
・顧客データ1300件持ち出す3人を逮捕 神奈川県警(産経新聞)

2019年6月7日
・スマートフォンの技術情報を中国に持ち出した男、証拠のハードディスクを破壊か(MBS)

2019年6月6日
・知的財産の提供、下請けに強要 公取委調査で730件(KYODO)

2019年6月6日
・中国籍元社員に懲役1年2月 富士精工データ持ち出し(日本経済新聞)
・営業秘密持ち出し中国人実刑判決(NHK NEWS WEB)
・データをメモリーに… 工具メーカーの営業秘密持ち出しの男に実刑判決 名古屋地裁(メーテレ)
・メーカーから営業秘密のデータ不正に持ち出す 中国人の男に実刑判決「転職活動という身勝手な理由」(東海テレビニュース)
・メーカーから営業秘密のデータ不正に持ち出す 中国人の男に実刑判決「転職活動という身勝手な理由」(FNN PRIME)

2019年6月5日
・三菱重工、加ボンバルと買収交渉=小型ジェット機事業(JIJI.COM)
・三菱重、加ボンバルの小型ジェット機事業買収で交渉 MRJ強化(REUTERS)

2019年6月5日
・当社元社員の逮捕(営業秘密を不正に領得)について(NISSHA株式会社)

・技術情報不正持ち出し疑い NISSHA元社員逮捕(日本経済新聞)
・技術情報不正持ち出し疑い、京都(REUTERS)
・スマホ操作技術、中国企業に漏えい疑い 部品メーカー元社員逮捕(京都新聞)
・技術情報を中国に持ち出し 容疑で電子部品メーカー元社員を逮捕(産経新聞)
・中国が狙う知的財産、日米で事件化(産経新聞)
・社員の情報持ち出し、対応難しく(産経新聞)

2019年5月23日
・<米国>米新興企業、ファーウェイ幹部提訴 企業秘密の不正取得で=報道(REUTERS)




2018年7月23日月曜日

オープンイノベーションと秘匿化技術の開示、NDAの重要性

近年、「オープン&クローズ戦略」や「オープンイノベーション」という文言がもてはやされ話題になっています。

オープンイノベーションの定義については、人ぞれぞれかと思いますが、ざっくりとした私の理解では「他社等との共同開発や協力関係により自社だけではなし得なかったビジネス展開を進める」といったものです。一般的には、自社のみで技術開発等を行う自前主義(クローズドイノベーション)の対極に位置する考えとされています。

また経済産業省を中心として、オープンイノベーションに関する色々な資料が公開されています。下記に一部をリンクしますが、他にも多々あります。

NEDO:オープンイノベーション白書(第二版掲載 2018年6月)
経済産業省:オープンイノベーションと知財の管理・契約リスクに関する啓発パンフレットを公表しました(公表日 2018年6月)
経済産業省:「事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携のための手引き(初版)」をとりまとめました(公表日 平成29年5月18日)
近畿経済産業局:中小・ベンチャー企業のためのオープン・イノベーション ハンドブック(最終更新日:平成28年4月15日)


ここで、前回までのブログ記事で紹介したストローブワッフル事件ももしかしたら、オープンイノベーションを期待して原告が被告と提携関係を結ぼうとしたのかもしれません。

過去ブログ記事
-判例紹介- ストロープワッフル事件 その1 ビジネスモデルを営業秘密とすること 
-判例紹介- ストロープワッフル事件 その2 ビジネスモデルを営業秘密とすること

この事件では、原告はストローブワッフルの実演販売に十分な経験を有していなかったようですから、被告を取り込むことでこのストローブワッフルの実演販売をビジネスとして成功させようという目論見があったのではないかと想像します。
しかしながら、原告は被告との提携関係を結べず、逆に被告にストローブワッフルの実演販売のビジネス化の機会を与えただけになりました。

この事件において原告の決定的な失敗は、原告と被告との間の交渉段階において秘密保持契約(NDA)を締結していなかったことだと考えます。この事件ではたとえNDAを締結しても、原告のノウハウは有用性・非公知性を満たさず、営業秘密としての不正競争防止法による法的保護は受けられない可能性が高いかと思います。
しかしながら、締結するNDAの内容にもよりますが、原告と被告との間でNDAを締結することで、被告が実施したストローブワッフルの実演販売に対してNDAの契約不履行で民事的責任を負わせることが可能だったかもしれません。

上記事件のように、オープンイノベーションを行うにあたり、特に技術情報に関しては自社の秘匿化技術(ノウハウ)を他社に開示せざる負えない状態になることが多いかと思います。
これは当然のことと考えられ、オープンイノベーションにより新たな技術を導入したい企業にとって、この新たな技術は公知でない他社のノウハウである可能性が非常に高いからです。もし、必要な技術が公知技術であれば、オープンイノベーションをするまでもなく自社開発が可能でしょうから。
また、新たな技術を導入したい企業も、上記事件のように、オープンイノベーションにより協力関係を築く他社に自社の秘匿化技術を開示しなければならない可能性が有るかと思います。

このように、オープンイノベーションには他社に対して自社の秘匿化技術の開示が必要な場面があり、これは企業にとって非常にリスクの高いことかと思います。

しかしながら、オープンイノベーションを説明している資料には、情報開示リスクの視点がやや欠けているものが多いかと思います。
これに関して、上記の近畿経済産業局の中小・ベンチャー企業のためのオープン・イノベーション ハンドブックには情報開示リスクへの対応策が詳細に記載されています。すなわち、オープンイノベーションにおける秘密保持契約(NDA)の重要性についてです。また、経済産業省のオープンイノベーションと知財の管理・契約リスクに関する啓発パンフレットを公表しましたにもわかりやすく記載されています。

以上のように、オープンイノベーションを行うにあたり秘匿化技術の開示に関する意識が十分でないと、オープンイノベーションに関する交渉決裂後や終了後に他社に自社のノウハウを使用されるという思いもよらなかった事態に陥る可能性が考えられます。
このため、オープンイノベーションにおけるNDAの重要性を理解し、かつ必要以上に相手方に秘匿化ノウハウを開示しないことを心掛けるべきかと思います。

また、重要な自社技術については、特許権を取得することも当然に考慮しなければなりません。特許権を有していれば、相手方が許諾無く実施した場合には、NDAの締結に関係なく侵害となります。
特許権の取得のためには技術を公開する必要がありますので、公開する技術内容、すなわち特許出願明細書に記載する技術内容を十分に検討する必要があります。公開したくない技術は秘匿化です。

新たな技術を自社開発した場合、それをどのように管理するのか、具体的には特許出願するのか、秘匿化するのか、それとも何もしないのか、これらを当該技術を使用する場面を想像しながら常に選択する必要があります。

弁理士による営業秘密関連情報の発信