2020年11月2日月曜日

自社製品のリバースエンジニアリングによる技術情報の非公知性喪失

下記表は、原告等の製品をリバースエンジニアリングすることで技術情報の非公知性喪失が争点となった営業秘密侵害の裁判例の一覧です。中には、日本ペイントデータ流出事件のように刑事事件の裁判で争われたものもあります。


この表からまず分かることは、機械系の技術情報について、リバースエンジニアリングによる非公知性喪失が争点となった裁判例が多いということです。
機械系は、物を測ればそのサイズが比較的”容易”に分かる場合もあり、非公知性が争点となり易いのでしょう。

一方、近年では化学系の技術情報についてもリバースエンジニアリングによる非公知性喪失が争点となったものが現れてきています。しかしながら、化学系になると営業秘密とする技術情報が物質の組成等であり、リバースエンジニアリングによって”容易”に当該技術情報を知り得るか否かの判断が難しいようにも思えます。

このように自社製品のリバースエンジニアリングによって非公知性が喪失していると判断されるような技術情報については、秘匿化するよりも特許出願等を行う方がよいとも考えられます。
とはいえ、特許出願は技術情報を積極的に公開する行為ですので、秘匿化したままであるならば誰かが自社製品をリバースエンジニアリングしない限り、当該技術情報は実質的に秘密のままですから、特許出願するか否かは十分な検討が必要でしょう。

しかしながら、自社製品のリバースエンジニアリングによって非公知性が喪失していると判断される可能性が有る技術情報を取引先等に開示する場合には、積極的に特許出願をしたほうがいいかもしれません。
取引先には当然、秘密保持契約を締結して当該技術情報を開示するでしょうが、取引先が当該技術情報を自由に使用等したいと思った場合には、非公知性喪失を積極的に主張する可能性が有るためです。
もし、当該技術情報について権利化ができていれば、当該技術情報を取引先に自由に使用されることを防止できます。

このように、リバースエンジニアリングによる技術情報の非公知喪失に関する知見は、技術情報を秘匿化するか、権利化するかの判断に重要な知見となり得ますので、十分な理解が必要と思います。

弁理士による営業秘密関連情報の発信