営業秘密関連ニュース

2020年2月14日
・ソフトバンク元部長を起訴 ロシア外交官に機密漏えい―東京地検(JIJI.COM)
・ソフトバンク情報漏洩 元社員を起訴 PC画面をデジカメ撮影(産経新聞)
・ソフトバンク元社員を起訴 機密情報の不正取得疑い(KYODO)
・ロシア外交官「ラインX」所属か 機密漏えい事件、科学技術を収集(KYODO)

2020年2月14日
・米検察、ファーウェイを企業秘密窃取の疑いで追起訴 北朝鮮とも取引(REUTERS)
・米、ファーウェイを追起訴 企業秘密窃取など16の罪で(AFPBB)
・米、ファーウェイを追起訴 北朝鮮との取引隠蔽の疑い(日経新聞)

2020年2月11日
・“機密情報”で見返り ロシア通商幹部から数十万円(テレ朝NEWS)
・SB元社員、別の機密情報も持ち出し(TBS NEWS)

2020年2月10日
・他の機密情報も不正取得か ソフトバンク元社員を追送検(共同通信)
・SB元部長の情報流出相手か ロシア通商幹部、出国へ(テレ朝NEWS)
・ソフトバンク情報漏洩 別時期にも機密情報持ち出しか 元社員追送検(産経新聞)
・ロ外交官、出頭応じず出国 教唆容疑で書類送検へ―ソフトバンク機密漏えい・警視庁(JIJI.COM)
・ソフトバンク機密情報漏洩 露幹部職員が出国か 元社員は自宅からサーバーにアクセス疑い(産経新聞)
・露幹部職員出国で全容解明困難も「覚知遅れれば、もっと情報取られていた」 ソフトバンク漏洩(産経新聞)

2020年2月7日
・ソフトバンク宮内社長、ロシアと関係のあった元社員が持ち出したのは「基地局設置の手順書」(ケータイ Watch)
・ソフトバンク元社員「損害出るとは」 ロシア人“スパイ”に漏えいか(FNN PRIME)
・「ロシアの古典的スパイに…」 ソフトバンク社長が謝罪(朝日新聞)

2020年2月6日
・ロシア諜報機関のスパイか ソフトバンクの元社員情報漏えい(FNN PRIME)

2020年2月5日
・“ロシア人スパイ”を書類送検へ ソフトバンク元社員 情報漏えい(FNN PRIME)

2020年1月28日
・ロシア人の男に「ほかにも資料渡した」 ソフトバンク元社員(FNN PRIME)
・ロシア、日本人男性を一時拘束 昨年12月、機密情報取得図った疑い(産経新聞)
・情報渡すたびに露側から数万円、ソフトバンク元社員 機密漏洩事件(産経新聞)>
・ロシア、昨年末に邦人記者を追放 「軍事機密入手を画策」=RIA(REUTERS)
・ソフトB元社員「新橋あたりで声かけられ」(日テレNEWS24)
・SB元社員 露側と2~3か月に1度接触か(日テレNEWS24)
・「最初は誰でも入手できる情報を要求」(TBS NEWS)
・情報漏えい、低過ぎた危機意識~元ソフトバンク社員の陥った古典的なスパイ手口(日本放送NEWS)

2020年2月22日土曜日

知財管理誌に論文が掲載されました。

知財管理誌の2020年2月号に私が寄稿した論文「技術情報が有する効果に基づく裁判所の営業秘密性判断」が掲載されました。
内容は、このブログでも度々書いていた、技術情報に優れた効果等がないとして営業秘密としての有用性(非公知性)が認められなかった裁判例等をまとめたものです。
このことは、特許の進歩性と類似する考えであり、まさに弁理士の得意分野に直結するかと思います。

一方で、営業秘密は経済的な効果もその有用性として当然に認められ得ます。そうすると、技術情報の有用性を主張するパターンとしては、技術的な効果と経済的な効果の2種類が想定されます。
では、裁判においてはどのような技術情報に対して、どちらの効果を主張するべきでしょうか。また、どのような効果を主張するかを想定することで、技術情報をどのように特定するかも変わってくるかもしれません。
そのようなことを下記の図を用いて説明しています。

なお、この論文のpdfは、約一月後に日本知的財産協会のホームページで公開されます。しかしながら、協会の会員にならないとホームページからダウンロードすることができません。そこで、このブログでも一月後にpdfをダウンロードできるようにします。

また、本号では、粕川先生による「中国タイムスタンプの状況と日本国内の証拠確保について」との論文も掲載されています。
タイムスタンプは、自社で何時から開発を行っていたのか、また、先使用権の主張の準備等において利用している企業も多くあるようです。
そして、中国でも技術開発等を行ったり、中国国内で営業秘密管理を行う場合もあるでしょう。この論文によって中国におけるタイムスタンプの現状を知ることができるのではないでしょうか。

弁理士による営業秘密関連情報の発信

2020年2月15日土曜日

ソフトバンク事件の報道や本質的なことについて

ソフトバンクの機密情報が元従業員によってロシア側に漏洩された事件について、比較的大きく報道されていること、いわゆるスパイ事件の様相もあり、いくつか特集記事のようなものも掲載されています。

確かに、ソフトバンクの機密情報がロシアの外交官に漏洩していたという事件は、幾つもある機密情報の漏洩事件の中において、インパクトがある事件です。しかしながら、スパイ防止法といった法律のない日本において、この事件は不正競争防止法の営業秘密侵害罪であり、「ロシアに情報が漏洩」したことが犯罪とされたわけではありません。

本質的には、今まで幾つもあった営業秘密侵害事件と何ら変わりません。すなわち、漏洩された情報が秘密管理性、有用性、非公知性を有した営業秘密であって、不正の目的を持って開示等されたことを持って、事件化されたものです。
今回の事件を特集した記事において、この点を述べているものがほとんどないことが少々気になります

すなわち、今回の事件は、ソフトバンクから流出した情報に、営業秘密が含まれていたから事件化することが可能となったものです。この事件は、ソフトバンクが察知したのか、公安当局が察知したのかは分かりませんが、元従業員が営業秘密にアクセスし、その情報をロシア側に渡したことで逮捕に至ったものであり、もし、営業秘密とされない情報だけを漏洩させていたのであれば、事件化には至りません。


ここで、「営業秘密とされない情報」とは何でしょうか?上述の、秘密管理性、有用性、非公知性を満たさない情報です。そして、このブログを度々ご覧になられる方は分かるかと思いますが、そもそも特定されている情報です。情報が特定されていないと、当然、秘密管理もできませんし、有用性、非公知性の判断を客観的に行うこともできません。しかしながら、情報は特定されていなくても、従業員が記憶している断片的な情報として漏洩される可能性もあります。

このように、特定されていない情報、秘密管理されていない情報は、まず、営業秘密となり得ません。そのような情報に対して、従業員によって漏洩された、企業スパイだ、と訴えても、営業秘密侵害とは認められません。実際にそのように判断された裁判例は幾つもあります。
裏を返すと、営業秘密とされていない情報は、基本的には、誰でも自由に開示したり、使用したりすることができます。今回の事件も、もしかしたら、本来漏洩されたくない情報であったにもかかわらず、その情報が特定されていない、秘密管理から漏れていた等の理由により、事件化できなかったものもあったかもしれません。

なお、営業秘密でない情報の開示・使用を制限させたいならば、秘密保持義務を相手方に課す必要があります。それが就業規則であったり、他社との秘密保税契約であったりします。
しかしながら、秘密保持義務違反は、民事的責任を負わせることはできるものの、刑事的責任を負わせることはできません。また、その条項によっては秘密保持義務を課す情報の範囲が実質的に営業秘密とされる情報の範囲と同じになってしまい、あまり意味のないものとなる可能性もあり、秘密保持契約等で情報を守ろうとすることは相当の注意が必要です。

このように、もし自社から情報が漏洩したとしても、企業スパイというイメージだけで事件化はされません。どのような企業情報がその対象となるかを理解しないと、自社の情報を守ることはできません。

弁理士による営業秘密関連情報の発信

2020年2月7日金曜日

技術情報の営業秘密保護のために知財部と特許事務所ができること。

技術情報を営業秘密として積極的に保護するのであれば、企業における知財部の役割は大きなものになるかと思います。

もし、知財部が特許出願のみを業務範囲とするのであれば、開発側から出てきた発明届けを確認し、場合によっては簡単に先行技術調査を行い、それを発明者にフィードバックして発明届けをブラッシュアップするでしょう。
その次には、特許事務所に明細書作成依頼を出し、発明者と特許事務所との打ち合わせをセッティングし、その後、特許事務所から出された明細書を確認・修正し、特許事務所に対して特許庁への出願依頼を行うという工程を行うでしょう。その後、PCT出願や中間処理の対応等もあります。
こられの工程は、自社における事業戦略等に基づくものであり、この他にも他社の出願動向や他社による侵害調査等も行うかと思います。

ここで、多くの企業の知財部において、各仕事の起点は開発側からの発明届けである場合が多いのではないでしょうか。
しかし、技術情報を営業秘密として保護する場合には、それでは遅い可能性があります。

営業秘密について企業の方と話をすると、少なからずの方から発明者の頭の中にある非公知の情報はどうなるのか?や開発途中の情報、まとまっていない情報はどうなるのか?といった質問や疑問を受けます。

発明者の頭の中にある非公知の情報は、所属企業に開示されていないので企業の営業秘密には当然なり得ません。
また、開発途中の情報やまとまっていない情報は、企業に開示されているものの、情報として特定が不十分であり、秘密管理されていなければ営業秘密とはなり得ません(営業秘密の要件を満たさないものの企業秘密としての民事的保護は受けられる可能性はあると思いますが。)。

そうすると、そのような情報を営業秘密とする作業はやはり知財の専門家である知財部ではないでしょうか。知財部の方が、開発部門や発明者と密に交流し、現状の開発状況や今後の開発予定等を聞き出し、必要であれば内容を特定して秘密管理の対象とするべきでしょう。このためには、知財部と開発側との間で、定期的に密なやり取りが必要でしょうし、そもそも営業秘密も知的財産であるという意識を持ち、そのために必要な知識も身につける必要があるかと思います。



では、特許事務所は何ができるでしょうか。特許事務所は、主に企業から特許出願を行うことが決定された技術を聞き、それを明細書に仕上げていきます。
この時点で、既に特許出願が前提となっているので、営業秘密云々の話ではありません。場合によっては、特許事務所に渡された情報であっても、開示する必要がない情報であれば、ノウハウということで明細書に記載しないようにしましょう、とのような相談をクライアント企業とは行いますが。

そこで、特許事務所はより上流工程、発明発掘の段階から関わることができるのではないでしょうか。すなわち、新規な技術(発明)に対して特許出願をするか否かの判断から関わるということです。
より具体的には、特許出願ありきという考えを持たずに、当該技術に関する事業内容や製品化の状態を考慮すると共に、リバースエンジニアリングが営業秘密の非公知性に与える影響や、営業秘密における有用性の判断等を行いつつ、当該技術を特許出願をするべきか秘匿化するべきかを専門的な知見から助言することができると考えます。
また、秘匿化する技術(発明)に対しては、当該技術を秘密管理できるように明細書に近い形で文章化する作業の要否もここで判断できるでしょう。

とは言いながら、このようなことは多かれ少なかれ、既存の知財部や特許事務所でも行っていることでしょう。しかしながら、営業秘密の知的財産という意識を持ち、特許出願を前提とした知財管理に偏らず、特許出願と秘匿化を両輪とした知財管理を積極的に行うべきかと思います。特に、特許事務所は特許出願等の代理人を行うビジネスモデルなので、そのビジネスモデルに加えて、技術情報の秘匿化も収益をもたらすビジネスにできればと思っています。

なお、企業によっては、特許出願に関する規定はあるものの、発明を秘匿化する際の規定がない企業もあるかとも思います。このような企業では、同じ発明であっても特許出願した場合は評価されても、秘匿化された場合は評価され難いかもしれません。
そのような評価であればどうしても発明は特許出願ありきという判断に偏りがちになるかと思います。
このため、発明を積極的に秘匿化する場合には、秘匿化した場合であっても発明者に特許出願と同等の評価がなされるような規定の整備が重要になるかと思います。

弁理士による営業秘密関連情報の発信