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2021年8月9日月曜日

色々雑多に

今回は営業秘密について雑多に書こうかと思います。

(1)大阪発明協会での講演が終了しました。
8/6(金)に大阪発明協会での「技術情報を営業秘密として守るための事例研究と知財戦略」と題したオンラインによる講演を行いました。参加していただいた方々、3時間の長い時間でしたがありがとうございました。
大阪発明協会での講演は去年に引き続き2回目です。毎年このような機会を頂けることは非常にうれしいです。
今年は知財戦略カスケードダウンについてもお話しさせていただきました。来年はもしコロナが収束傾向にありオフラインでの公演が可能ならば、知財戦略に絡んだ課題・ディスカッションを参加者の方々に行ってもらえればと思っていたりもします。

(2)平成27年の法改正による追加された海外重罰の影響?
営業秘密に関する刑事事件について、もしかしたら厳罰化の傾向にあるのかもしれません。
営業秘密侵害事件のほとんどは、被告に対して執行猶予が付きます(営業秘密を用いた詐欺事件等は別ですが)。
しかしながら、下記表のように東芝半導体製造技術漏洩事件やベネッセ個人情報流出事件のように営業秘密保有企業の損害が莫大となった場合には執行猶予がつかない実刑判決となった例もあります。
ところが、富士精工営業秘密流出事件やNISSHAスマホ情報漏洩事件は、東芝やベネッセほどの損害が出ていないにも関わらず、執行猶予がつかない実刑判決となっています。この理由はもしかしたら、営業秘密の漏えい先が海外(中国)だからかもしれません。
平成27年の不正競争防止法改正では、海外へ営業秘密を漏えいした場合には罰金が三千万円以下(国内ならば二千万円)とする海外重罰の規定が新たに設けられました(法人は10億円)。下記表から分かるように、この三千万円や10億円といった高額な罰金となった例はありません。
一方で、平成27年以降、上述のように、海外へ営業秘密を漏えいさせた場合に執行猶予がつかない実刑判決となる例が2つほどあります。執行猶予が使いない判決が共に中国への流出であったことは偶然でしょうか?これは、海外重罰の規定が設けられた影響なのかもしれません。
ちなみに、8月18日には積水化学の元社員が中国企業に営業秘密を漏えいした事件の地裁判決が言い渡されます。検察は懲役2年を求刑していますが、果たして執行猶予は付くのでしょうか?


(3)営業秘密の民事訴訟で初めて最高裁まで争われた?
今まで、営業秘密の民事訴訟で最高裁まで争った裁判はなかったのですが、最近になって最高裁まで争った裁判「令和2年11月19日 最高裁第一小法廷 令2(オ)923号」がありました。なお、この判決は、上告棄却となっています。
この判決における営業秘密は技術情報であり、被告会社による営業秘密不正利用及び営業誹謗行為によって原告製品の売り上げ減少したとして、個人の被告と被告会社が連帯して3億2560万円の損害賠償が認定されています。
一審判決は本ブログでも紹介しています。

(4)データ管理の再委託先である中国企業からの情報漏えい
先日、村田製作所から委託を受けた日本IBMの再委託先の中国法人社員によって村田製作所の情報が持ち出されたとの報道がありました。このような懸念は以前からあり、それが現実のものとして表面化したということでしょう。

海外企業にデータ管理を委託又は再委託している企業も少なからずあることでしょう。そういった企業にとっては気になるニュースかと思います。
また、中国法人の社員が漏えいさせたようであり、おそらく情報漏えいは中国国内で行われたのでしょう。この事件について、村田製作所は刑事又は民事で事件化するとの報道は見受けられませんが、もし営業秘密侵害で事件化しようとしたら、日本の不競法は適用できず、中国の法律が適用されるのでしょう。
大企業にとっては海外で訴訟することはさほどハードルは高くないかもしれませんが、中小企業であったらどうでしょうか?費用対効果を考えると、難しいかもしれません。

弁理士による営業秘密関連情報の発信 

2021年5月5日水曜日

ブログ開始から5年目になりました。

今月でこのブログを始めてから5年目になりました。 

先月は、パテント誌2021年4月号に”知財戦略カスケードダウンと三方一選択”と題した論文が掲載されました。
この内容は本ブログでも提案している、事業の利益又は事業に基づく企業価値を最大化することを目的として、発明に対して権利化(特許化)、秘匿化、又は自由技術化を選択(三方一選択)する、というコンセプトとした知財戦略(特許出願戦略)を記載したものです。

知財戦略カスケードダウンの考え方としては、まず、事業を目的、戦略、戦術とのように段階的に理解します。そして、事業戦術から知財目的を設定し、事業戦術に用いる技術要素(複数の発明の集合)に対して知財戦略を設定し、さらに具体的な知財行動である知財戦術として発明毎に三方一選択を行うというものです。
下記参考は、知財戦略カスケードダウンの考え方の具体例です。
今後は、他にも具体例をいくつか挙げていきたいと思っています。


このように、今後は、営業秘密だけでなく、特許も含めた知財戦略についても考えていきたいと思っています。
このため、このブログのタイトルも「営業秘密ラボ」から、「特許と営業秘密と知財戦略 -営業秘密ラボー」に替えました。


また、昨年はツイッターによる情報発信も始めましたが、ブログのまとめ記事を掲載するためにnoteも始めました。
こちらの更新頻度は低めの予定です。このページ<まとめ記事 ーnoteへのリンクー>からもアクセスできます。

さらに、営業用として「営業秘密漏えい防止研修のご依頼」のページも作っています。営業秘密の漏えい防止には、従業員に対する教育が一番であると考えています。
今後は、上記の知財戦略カスケードダウンと三方一選択に基づいた知財戦略に関するサービスも行いたいと考えています。

弁理士による営業秘密関連情報の発信 

2021年4月4日日曜日

IPA発表の「企業における営業秘密管理に関する実態調査2020」と警察庁発表の資料

先日、IPA(情報処理推進機構)から「企業における営業秘密管理に関する実態調査2020」が発表されました。この前回の調査は2017年に発表されたものであり、3年を経て新たに発表されたものです。

この調査で私が気にしているものは営業秘密の漏えいルートに関するアンケートです。
2020の実態調査では下記のような結果となっており、IPAでは「情報漏えいルートでは「誤操作、誤認等」が21.2%と前回調査に比べ約半減。その一方で「中途退職者」による漏えいは前回より増加し36.3%と最多(報告書P28)。 」とのように述べています。


「「誤操作、誤認等」が21.2%と前回調査に比べ約半減。」とありますが、私はちょっと違うのではないかと思います。
この「誤操作、誤認等」に対応する前回調査のアンケート項目は「現職従業員等のミスによる漏えい」です。そして今回調査では「現職従業員等のルール不徹底による漏えい」がアンケート項目に新設されました。
すなわち、前回調査のアンケート項目「現職従業員等のミスによる漏えい」が「誤操作、誤認等」と「ルール不徹底」の2つに分かれたのではないでしょうか?この2つの割合いを合算すると40.7%であり、前回調査の「ミスによる漏えい」43.8%とほぼ同じであす。

一方で、IPAが述べているように、中途退職者による漏えいは前回が28.6%であったものが今回は36.3%とのように増加しています。これは実際に中途退職者による漏えいがそのものが増加したのか、企業側の認識が高まったのかは判然としません。しかしながら、数値としては増加していることは事実です。

さらに注目したい結果は、国内の取引先や共同研究先を経由した(第三者への)漏えい」が前回の11.4%から2.7%へ大幅に減少したということです。
これに関連して、近年、大企業等が優越的地位を利用して中小企業等の知的財産の開示を強要するといったことに対する懸念を経済産業省や公正取引委員会が示し、報告書を作成したり、最近では「スタートアップとの事業連携に関する指針」を発表したりしています。
「国内の取引先や共同研究先を経由した(第三者への)漏えい」の減少は、こういった行政の活動の結果として表れているのではないかと思います。

また、「契約満了後又は中途退職した契約社員等による漏えい」も前回の4.8%から1.8%へ大幅に減少しています。契約社員等には企業が直接雇用した人の他に派遣社員も含まれるのではないかと思います。減少の理由は、契約社員等に与えるアクセス権限を減らしたことが考えられます。また、派遣社員に対しては、派遣会社による派遣先企業の営業秘密漏えい防止等の教育活動があるのかもしれません。

次に、警察庁生活安全局から「令和2年における生活経済事犯の検挙状況等について」が発表されました。
これによると、営業秘密侵害事犯の検挙事件数の推移は下記のとおりであり、絶対数としては少ないものの増加傾向にあります。
また、相談受理件数の推移は前年に比べて減少しています。



相談受理件数が減少している理由は分かりませんが、営業秘密の漏えいそのものが減少しているとは思えませんので、企業側が相談を行うことを躊躇するような理由があるのかもしれません。
企業にとっては、営業秘密の漏えいを刑事告訴することについてメリットがないと考え、警察対応等で本来の業務が滞ると考える場合もあるでしょうし、刑事告訴により広く報道がされる可能性もあり、それを良しとしない考えもあるでしょう。
一方で、刑事告訴することにより、警察が証拠収集をするので、民事訴訟において警察が収集した証拠を使用するという考えもあります。

弁理士による営業秘密関連情報の発信 

2020年12月21日月曜日

パテント誌に寄稿した論文「取引先への営業秘密開示と秘密保持契約」が掲載されました

パテント誌(2020年12月号)に寄稿した論文「取引先への営業秘密開示と秘密保持契約」が掲載されました。

この論文は、営業秘密を取引先に開示する際の秘密保持契約の重要性と共に、秘密保持契約を締結したとしても非公知性を満たしていない情報は秘密保持義務の対象とならない場合があることを裁判例を参照して説明しています。
技術情報は取引先に開示する場合もあり、さらに非公知性が問われる可能性も営業情報に比べて高いため、本論文に記載のような事項は技術情報を営業秘密とする場合に重要なことであると考えます。

ところで、私が今までに寄稿した論文は以下の通りです。

・「取引先への営業秘密開示と秘密保持契約」パテント誌 Vol.73 No.12, p83-p95 (2020)
「技術情報が有する効果に基づく裁判所の営業秘密性判断」知財管理 Vol.70 No.2, p159-p169 (2020)
「プログラムの営業秘密性に対する裁判所の判断」パテント Vol.72 No.8, p117-p126 (2019)
「リバースエンジニアリングによる営業秘密の非公知性判断と自社製品の営業秘密管理の考察」知財管理 Vol.68 No.12, p1670-p1680 (2018)
「技術情報に係る営業秘密に対する秘密管理性の認定について」パテント Vol.71 No.6, p74-p83 (2018)
「営業秘密における有用性と非公知性について」パテント Vol.70 No.4, p112-p122 (2017)


上記6本の論文によって技術情報を営業秘密とする場合の秘密管理性、有用性、非公知性に関する留意点はほぼ網羅したのではないかと思います。
次はこれらのまとめて書籍化したいと思っています。
書籍化についてはしばらく前から考えており多少は進めていますが、やはり大変ですね。
完全に手が止まっています。

一方、最近ブログでも書いている知財戦略・知財戦術について、これは論文としてまとめたいと考えています。こちらのほうは、営業秘密を加味した知財戦略であり、いわゆる三位一体をどのように実現するかという具体例の一つになり得ると考えています。
最近は営業秘密の三要件(秘密管理性、有用性、非公知性)だけではビジネス展開は難しいと考え始めており、知財戦略も絡めると興味を持つ人も増えるのではないかと思っています。果たしてどうなることやら。

弁理士による営業秘密関連情報の発信

2020年10月4日日曜日

ツィッターをはじめたのでブログのデザインを変更、そして知財業界に少々思うこと。

少し前に営業秘密ラボのツイッター(@TradesecretLab)をはじめたので、ブログのデザインも変更して、スマホでも読み易いようにしてみました。

ツイッターをはじめてみて思ったことは、多くの知財関係者がツイッターをしてるんですね、ということ。しかしながら、営業秘密や技術情報の秘匿化についてはあまりツイッターでは話題にあがっていなさそう。

まあ、そんなものかな、とも思います。
特許は特許事務所の主たる仕事(ビジネス)ですが、営業秘密はビジネスとして確立していませんので、あまりつぶやく切っ掛けがないようにも思います。

また、企業知財部も出願関係の仕事はしていても、秘匿化についてはその仕事には含まれていないところも多い(ほとんどない?)ようにも思えます。

一方で近年において、企業における営業秘密の漏えいについての問題意識が高まっているように思えます。この理由の一つに、近年の中国の動向があると思いますが。
先日も下記のような報道が有りました。
・機密情報の流出阻止 経団連が政府と協調へ(日経新聞)

しかしながら、営業秘密も知財のはずですが、やはり話題にはあがっていないような?このような動きは知財業界とは別のところの話なのでしょうか?それとも私が気が付いていないだけ?少々モヤモヤ感があります。

そうは言っても、これが営業秘密に対する現状であるので、自分ができることを地道に続けようかと思います。


弁理士による営業秘密関連情報の発信

2020年7月28日火曜日

9月の大阪発明協会主催の営業秘密研修会はウェブ形式になりました。開催日10月9日

既に告知していた9月11日に開催予定でした営業秘密研修会はいったん中止となりました。
この新型コロナが再び広まりつつある状況下では致し方ないですね。

とはいえ、既に数名の参加申し込みがあったようです。
この状況下でも私の研修会に興味を持ち、参加申し込みをしてくださった方、企業様もいらっしゃたことはうれしい次第です。

しかしながら、10月9日にウェブ形式での開催となりました。
関西方面以外の方の参加も可能になるのかな?
もしより多くの方の参加があれば、結果オーライでしょうか。


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2020年3月26日木曜日

知財管理誌に掲載された寄稿文のpdfデータ

先月の知財管理誌に寄稿した「技術情報が有する効果に基づく裁判所の営業秘密性判断」のpdfデータへのリンクを設定しました。
知財管理誌のpdfデータは、知財協の会員の方しかホームページから見ることはできませんが、知財協の会員以外の方で興味がある方は上記リンクからアクセスしてください。

この寄稿文では、従来技術に対して優れた効果等を有しない技術情報は、営業秘密としての有用性(又は非公知性)を有しない場合について述べています。
実際、このような裁判例が散見されるためにこの寄稿文を書いたのですが、個人的にはこのような裁判所の判断には疑問を感じています。

企業から情報が不法に持ち出された場合には、その営業秘密性は非公知性を重視すべきであって、有用性や秘密管理性は厳密に判断するべきではないと私は思います。
企業から情報が不法に持ち出されたということは、当該情報を持ち出した人物はこの情報に価値があると考えていることに他なりません。もし、価値がないのであれば、持ち出す必要は無いからです。
にもかかわらず、秘密管理性や有用性を厳密に判断することにより、不正に情報を持ち出し、さらには持ち出した情報を使用しても、不法行為とはならない可能性が高くなります。

例えば、非公知の技術情報であれば、技術情報ということのみで有用性を認めても良いのではないでしょうか。また、非公知と言うことで秘密管理性も認めてよいのではと思います。
さらに、顧客情報や医療カルテ等、個人情報に類する情報や、取引先の情報等、社会通念上、企業において秘密としていると思われる営業情報も、その秘密管理性を厳しく判断する必要はなく、その情報をもって経済的な有用性も有していると判断されてもよいのではないでしょうか?

一方で、公知となっている情報であれば、そもそも誰でも入手可能な情報であるので、当該情報を持ち出したとしても不法行為とはならないという判断は妥当であると考えます。

とは言っても、営業秘密侵害は民事的責任のみならず、刑事的責任も問われるものであるため、営業秘密の3要件の判断を甘くすると、より多くの人が罪に問われることにもなり得るでしょう。このため、裁判所は営業秘密の3要件をある程度厳密に判断しているのではないかとも思います。


今回の寄稿文によって、技術情報を営業秘密とする場合における、秘密管理性、有用性、非公知性に関する留意すべきことを、私なりにそれぞれまとめることができたと考えています。
しかしながら、3要件に対する裁判所の判断は今後変わってくるかもしれません。それはより厳密に判断するのか、甘く判断するのかは分かりませんが。このため、裁判例のウォッチングは重要な作業かと思います。

また、今年の9月末ぐらいに大阪で営業秘密に関する研修を行う予定です。
この研修は弁理士以外の方も参加可能です。
内容は、昨年の11月に弁理士会で行った研修内容+αです。
研修日が近くなったら、またアナウンスします。
もし最悪、コロナの影響が長引けば、キャンセルになるかもしれませんが・・・。

弁理士による営業秘密関連情報の発信

2020年2月22日土曜日

知財管理誌に論文が掲載されました。

知財管理誌の2020年2月号に私が寄稿した論文「技術情報が有する効果に基づく裁判所の営業秘密性判断」が掲載されました。

リンク:知財管理 2020年2月号 目次

この内容は、このブログでも度々書いていた、技術情報に優れた効果等がないとして営業秘密としての有用性(非公知性)が認められなかった裁判例等をまとめたものです。
このことは、特許の進歩性と類似する考えであり、まさに弁理士の得意分野に直結するかと思います。

一方で、営業秘密は経済的な効果もその有用性として当然に認められ得ます。そうすると、技術情報の有用性を主張するパターンとしては、技術的な効果と経済的な効果の2種類が想定されます。
では、裁判においてはどのような技術情報に対して、どちらの効果を主張するべきでしょうか。また、どのような効果を主張するかを想定することで、技術情報をどのように特定するかも変わってくるかもしれません。
そのようなことを下記の図を用いて説明しています。

なお、この論文のpdfは、約一月後に日本知的財産協会のホームページで公開されます。しかしながら、協会の会員にならないとホームページからダウンロードすることができません。そこで、このブログでも一月後にpdfをダウンロードできるようにします。

また、本号では、粕川先生による「中国タイムスタンプの状況と日本国内の証拠確保について」との論文も掲載されています。
タイムスタンプは、自社で何時から開発を行っていたのか、また、先使用権の主張の準備等において利用している企業も多くあるようです。
そして、中国でも技術開発等を行ったり、中国国内で営業秘密管理を行う場合もあるでしょう。この論文によって中国におけるタイムスタンプの現状を知ることができるのではないでしょうか。

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2020年1月3日金曜日

あけましておめでとうございます。今年の予定

あけましておめでとうございます。
今年は近いうちに、雑誌に寄稿した論文が新たに掲載される予定です。内容は有用性についてです。

その次としては、すでにブログでときどき書いていますが、営業秘密の帰属についてまとめてみたいと思います。
営業秘密の帰属は、会社員の転職がますます多くなる昨今、議論される可能性が高くなるかと思っています。

営業秘密、特に技術情報に係る営業秘密について、秘密管理性、非公知性、有用性をそれなりにまとめたつもりです。
そのうえで、営業秘密の帰属についてまとめることで、技術情報に係る営業秘密について一通りを論じることになるのではないでしょうか。

そして、その次は、今までの論文やブログで書いた内容を書籍化しようかなと思っています。今年はこの書籍化に向けて動いてみるつもりです。さて、どうなるでしょう?


弁理士による営業秘密関連情報の発信

2019年4月26日金曜日

営業秘密統計資料集のページを作りました。

もうすぐでこのブログを始めてから2年経過します。
その間にも、統計資料となりそうなものを見つけたり、自分で作成したものがそれなりに集まってきたので、統計資料集として新たにページを作りました。
とりあえず作った感がありますが、今後適宜充実させようかと思います。

資料として注目度が高いものは、刑事事件関係かと思います。このブログでも、刑事事件関係の記事が圧倒的に注目度が高いです。
企業としては、おそらく刑事事件よりも民事事件のほうが可能性として高いと思うのですが、このブログが検索でヒットする割合は刑事事件関係のほうが多いようです。
普通の会社員の方々が気にされているのでしょうか?

近年ではトランプ大統領による中国に対する知的財産関係の対立も影響してか、米国でも営業秘密(トレードシークレット)に関係する訴訟が多くなっています。
統計資料としては、日本だけでなく海外も含めたものを作ることができればさらに充実するのですが、当分は日本国内をメインで。


弁理士による営業秘密関連情報の発信

2019年1月3日木曜日

明けましておめでとうございます。

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

このブログを開始して約1年半、2回目の年明けです。
この短い間であっても、知財や法務として注目すべき判決がいくつも新たに出ていると感じています。

ところで、今後、営業秘密と組み合わせて考えたいキーワードはオープンイノベーションでしょうか。
オープンイノベーションといっても、もう少し広い概念で捉え、取引先に対する営業秘密の開示です。
従業員による転職時等における営業秘密の不正取得等は減っているようですが、オープンイノベーションの広まりにより、取引先等による営業秘密の不正取得や不正利用が多くなるかもしれません。

さらに、技術情報の非公知性(有用性)の有無についても気になるところです。
近年改定される営業秘密管理指針にも自社製品のリバースエンジニアリングによる非公知性喪失が新たに加えられます。

今後も、営業秘密に関する裁判例を紹介し、秘匿化すべき情報をどのように扱うべきかの私見を述べていきたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。


弁理士による営業秘密関連情報の発信

2018年12月23日日曜日

知財管理誌に投稿した論説が掲載されました。

知財管理誌の12月号に、私が投稿した論説「リバースエンジニアリングによる営業秘密の非公知性判断と自社船品の営業秘密管理の考察」が掲載されました。
知財管理誌がお手元にある方は、ぜひご一読ください。

なお、知財管理誌に掲載された論説等は、日本知的財産協会の会員でないとインターネットで閲覧できません。
しかしながら、私の上記論説は2月になりましたら、本ブログでもアップロードしますので、会員でない方でも閲覧できるようにしたいと思います。

なお、抄録はこちら(知財管理誌ホームページ)から閲覧することができます。



弁理士による営業秘密関連情報の発信

2018年12月13日木曜日

弁理士会ホームページにコラムが掲載されました。

弁理士会のホームページには「営業秘密に関するコラム」があります。
ここで、私の記事「自社製品に対するリバースエンジニアリングと営業秘密との関係 」が掲載されました。

このリバースエンジニアリングによる技術情報の公知化は、本ブログでも度々取り上げていますが、 私が参加している弁理士会の技術保護テキスト作成委員会の活動として執筆したものです。

技術情報を秘匿化又は特許化するときの判断基準の一つとして、自社製品のリバースエンジニアリングによる当該技術情報が公知性がありますが、この記事では、どのような技術情報がリバースエンジニアリングによって非公知と判断されるのかを裁判例を挙げて検討しています。

ちなみに、近々、営業秘密管理指針が一部改訂されます。現在、パブリックコメントの募集中です。
この改訂は本年度の不競法の改正に伴うものですが、「4.非公知性の考え方」に、リバースエンジニアリングによる技術情報の公知化についても「公開情報や一般に入手可能な商品等から容易に推測・分析されない」とのように裁判例も挙げて追加されています。
これにより、リバースエンジニアリングと営業秘密との関係が再認識及び広く知られるようになるかと思います。

ご興味のある方は、ぜひご覧ください。




弁理士による営業秘密関連情報の発信

2018年10月3日水曜日

所属事務所が変わりました。

このブログの運営者である私の所属事務所が10月から変わりました。

初日から、台風の影響による停電で最寄り駅に電車が来ず、昼過ぎの出所でしたが・・・。

新しい所属事務所は、東京の恵比寿にあるKSIパートナーズ法律特許事務所です。

法律特許事務所というように、弁護士と弁理士とで構成されている事務所です。
営業秘密に関しても、弁理士だけの事務所に比べて対応の幅が明らかに広がります。
また、今まで以上に営業秘密のビジネス化に向けて何かやっていこうと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。




弁理士による営業秘密関連情報の発信

2018年7月5日木曜日

パテント誌に寄稿した論考が弁理士会のホームページで公開されました。

パテント誌に寄稿して今年の4月号に掲載された私の論考が弁理士会のホームページで公開されました。
興味のある方はご覧ください。

弁理士会ホームページ:月刊パテント2018年5月号
掲載された論考:技術情報に係る営業秘密に対する秘密管理性の認定について 


弁理士による営業秘密関連情報の発信

2018年6月20日水曜日

グーグルで「営業秘密」と検索すると・・・

グーグルで「営業秘密」と検索すると、良い時は1ページ目の最後尾あたりにこのブログが現れることに気が付きました。ヤフーでも1ページ目の最後尾あたりに現れる場合があるようです。
「営業秘密」で検索してもこのブログが現れない場合もありますが・・・。そんなときは、ブラウザの更新ボタンを押すと現れたりします。



以前は、グーグル検索で3ページ目に現れる感じでしたが、かなり検索上位に上がってきました。特にSEO対策はしていませんが、時間はかかりますが地道にブログに記事をアップし続けると検索上位になるんですね。

全体のアクセス数が増えている感じはしませんが、グーグルやヤフーの検索からこのブログにたどり着く人が増えてきているようです。
「営業秘密」で検索すると、トップは経済産業省のホームページなので、これを超えるように頑張りますか。

そして、このブログをどう使うか?使えるか?

弁理士による営業秘密関連情報の発信

2018年5月16日水曜日

パテント誌5月号に寄稿した記事が掲載されます。

パテント誌の5月号に私が寄稿した営業秘密に関する記事が掲載されます。
今回で2回目の掲載です。
まあ、弁理士が寄稿したらよほどのことがない限り掲載されるようですが。

今回の寄稿のタイトルは「技術情報に係る営業秘密に対する秘密管理性の認定について」です。
前回寄稿したもの(2017年4月号)は「営業秘密における有用性と非公知性について」ですので、取り敢えず営業秘密の3要件である秘密管理性、有用性、非公知性について何かしら形に残したといえるでしょうか。




パテント誌は、2カ月遅れですが掲載されたものをpdf化してホームページ上で公開しています。 幾つか知財関係の雑誌はありますが、会員以外にもpdf化した記事を公開しているものはパテント誌だけでしょうか?

弁理士会ホームページ:月刊パテントのご案内

実際、ネット検索で気になる他の雑誌の記事を見つけたとしても、インターネットで公開しておらず、見ることができないものもありました。
その会員にもなっておらず、その雑誌も購入していないので、“無料”で見たいというのも虫の良いことだと思いますが、パテント誌のように無料で見ることが可能なものは嬉しいです。
また、寄稿したほうとしても、その寄稿した記事のpdfにリンクを貼ったりと、何かと使い易いですね。

http://www.営業秘密ラボ.com/
弁理士による営業秘密関連情報の発信

2018年4月30日月曜日

営業秘密のブログをはじめて1年経過

5月11日で本ブログをはじめて1年経過します。

今のところ更新頻度は週に2,3回です。最近では主に月曜日と木曜日に更新しています。
営業秘密関連で最も情報発信をしているものは、本ブログではないかと勝手に思っています。

日本の特許出願件数が右肩下がりの現状において、知財に関連した何か新しいことができないかと思っていたところ、不正競争防止法の平成27年法改正において営業秘密関連の刑事罰が大幅に改正されることをきっかけに、営業秘密をキーワードにビジネスチャンスがあるのではないかと考え、情報収集及び勉強をはじめました。
そして、1年前から本ブログを開始するに至っています。

何らかの集まり等でお会いした方に営業秘密に関して私が話題を振ると、多くの人が興味を持ってお話してくれます。
このため、潜在的に営業秘密に関することに興味を持っている人は多いのではないかと思っています。
しかしながら、ビジネス化となると色々難しさを感じている今日この頃。


具体的にどこが難しいかといいますと・・・。
「営業秘密を守る」ということは、社内で新たなルール作りとなる場合が多いということです。
以前、ある方とお話をさせてもらい、それに気が付かされました。

企業で新たなルールを作るということは大変な作業です。
何を営業秘密とするのか?
営業秘密をどこの部門が管理するのか?
営業秘密に関するルールの策定、従業員への周知。
システムの構築・・・。

とても、弁理士一人でできるものではありませんし、「これをサービスとして行います」と言ったところで現実的には相手にしてくれる企業は殆ど無いでしょう。
そもそも、ビジネスの話をするターゲットは誰なのか?
企業の新たなルールを策定するのであれば、社長や役員?しかし、これは考えにくい。
自分が弁理士ならば、特許関係を扱う知財部等の人達の方が親和性が高いのでしょう。

それ以前に、営業秘密について重要性を認識しているものの、それを理解している人が少ない・・・。
同業者の方々であっても、営業秘密の侵害で刑事告訴され、実際に有罪判決を受けている人が多々いることを話すと多くの方が驚かれます。

では、営業秘密に関する啓蒙活動的な研修やセミナー等をまず行い、それを足掛かりに次に発展させるべきかな、といまは考えています。

また、営業秘密と言っても、その内容は“技術情報”と“営業情報”とに大別されるかと思います。
自分が弁理士であるならば、“技術情報”に特化する方が自然の流れでしょう。
すなわち、技術情報を「秘匿化するのか?特許出願するのか?」これをキーワードとすることが現在の業務との親和性も高く、無理のない考え方でしょうか。

今後、営業秘密に関するビジネス化を成功させることができればよいのですが、さて、どうなることやら。

ちなみに、このブログ記事について、携帯端末では字が小さくて読みにくいというご意見を頂きました。それは私も薄々感じていたので、これを機に字を大きくしています。

弁理士による営業秘密関連情報の発信

2018年1月22日月曜日

ブログ記事100件記念

このブログ記事でちょうど100件目です。
だからというわけではありませんが、今まで無かったブログのプロフィールに私の似顔絵の画像を追加しました。

もともとは、私が所属する弁理士同友会の公報に載せるためのイラストなのですが、本ブログにも使用してい良いとの許諾を頂けたので、ブログ記事100件目のタイミングで使わせた頂きます。

イラストの作成は、株式会社クリオの松本直子弁理士によるものです。
大変ありがとうございます。


今回で100件目の記事になりますが、定期的にブログを更新し続けて良かったことの第一としては自分の勉強になることですね。
営業秘密について何かをしようと思っても、日々の業務がありますので思っているだけでは何も進みませんし、営業秘密について自分の考えを文章にすることで、さらに考えも深まります。
営業秘密は色々な点で議論すべきことがあるかと思いますが、未だ十分に議論がされているとは言い難いです。判例も多くありませんので当然かと思います。
また、このためか裁判所の判断についてもその妥当性に疑問を感じることがあります。

一方で、企業は情報を積極的に秘匿化していますし、増々その傾向は高まるかと思います。そして、秘匿化した情報が漏えいすると、その被害額が高額になる場合もあります。
特に技術情報に関しては、特許出願件数が減少傾向にあるということは、必然的に秘匿化される情報も多くなっていると思われます。

このため、秘匿化している技術情報が真に営業秘密となり得るものなのかを企業は検討することの必要性が高まるのではないでしょうか?
具体的には、営業秘密の有用性については、格段の作用効果の有無について、また、非公知性についてはリバースエンジニアリングとの関係についてが議論となるかと思います。
さらに、今後は、営業秘密の帰属についても議論になるかもしれません。

そして、営業秘密となり得る要件を正しく理解することで、営業秘密として管理するべき情報もより精査されるでしょう。
そのためにも、営業秘密に関する研究、主に判例研究となるかと思いますが、それが必要になり、誰かがやらないといけないことかと思います。


2018年1月17日水曜日

営業秘密関連ニュース一覧のページを追加


営業秘密関連ニュース」というページを作成・追加しました。
営業秘密に関連するニュースを見つけるたびに更新している本ブログのトップページの「営業秘密関連ニュース」から削除した過去のニュースの一覧です。

去年の10月からのニュースなので、数は多くないものの、営業秘密に関連すると思われるニュースを見つけるたびに増えるはずです。
単にニュース報道の見出しに、当該サイトをリンクしているだけのものですが、年月を経てニュースの数が増えてくれば、営業秘密に関連して過去にどのような頻度でどのような事件が起きたかを把握できるかもしれません。
古い記事になるとリンク先が削除されているかもしれませんが、見出しだけでもニュースを把握できるかと思います。
そして、話題性の高そうな事件が「過去の営業秘密流出事件」に昇格するかと思います。

ちなみに、リンクしているニュースは、私がキーワード検索により見つけて、営業秘密に関連していると思われるものを任意にピックアップしているものです。
また、このニュースは、事件だけでなく、行政の動向などもピックアップしていくので、

営業秘密関連ニュースを記録し続けることで、営業秘密に関する社会全体の変化が見えるかもしれません。