2017年6月15日木曜日

営業秘密とF1


無理やり自分の趣味と営業秘密を絡めちゃいます。
まあ、無理やりというほどでもありませんが。

モータスポーツであるF1(Formula 1)は、現在10チームが参戦していますが、その全てが独自にマシン(シャーシ)を作っています。そして、エンジンは、現在ではメルセデス、フェラーリ、ルノー、ホンダから選んで搭載します。

今のエンジン(パワーユニット)は、内燃機関(ターボエンジン)+回生システム(モータ)のハイブリットであり、リアブレーキからの回生を利用したMGU-K、ターボからの回生を利用したMGU-Hで構成されています。そして、エネルギー回生が行われるリアブレーキは、通常の油圧制御ではドライバーが精度良くコントロールすることが難しいため、電子制御(BBW)が行われます。これらのシステムは、ソフトウェアによる電子制御が行われています。
さらに、F1のシャーシは、主として、いかにしてダウンフォースを生み出す車体構造とするかが課題であり、近年のフロントウィングやリアウィング等の空力パーツは曲面が多用された3次元構造となっています。そして、車体そのものはほとんどがカーボンファイバーによって形成されており、その製造技術も多くのチームは所有しております。

このように、私のような素人には説明が難しい高度技術(F1以外での使い道は?)が盛りだくさんでして、興味のない人にはまったく意味不明な技術かとおもいます。

そして、各F1チームやエンジンメーカーは、高い技術力を有しているのみならず、F1で勝つために日々技術開発に邁進しています。
その技術開発のスピードは非常に速く、前レースにおける技術的な問題点は2週間後の次レースまでには解決させる、といった感じです。
それをやり続けるチームが強いチームということになります。
で、それが失敗すると、マクラーレンにエンジンを供給している現在のホンダのように惨憺たる結果となり、企業イメージも悪化します。

では、チームはどのように技術開発を行うかといいますと、異論もあるかと思いますが「模倣」です。遅いチームに限らず、どのチームも他のチームが良い技術を導入した場合には、その技術を模倣します。そのため、新しい技術を導入したチームは、その技術が分からないように「隠す作業」を行ったりもします。

おっ、だんだん営業秘密っぽい話になってきましたね。

そして、過去にスパイ活動も実際にあったりします。
それが2007年にマクラーレンとフェラーリの間で起きました。
フェラーリのマシンに関する資料がマクラーレンに渡ったというものです。
これにより、マクラーレンは2007年のコンストラクターズポイント剝奪と共に1億ドルの罰金がFIA(国際自動車連盟)から科されています。
このように、F1のチーム間でも技術情報を盗みとることには厳罰が下されます。

また、F1界では人材の流動が激しく、技術がないならその技術を有する人を雇うということが一般的です。
ちなみに、この様な考え方は、未だ古い体質の日本企業では受け入れ難いようです。現在ホンダが惨憺たる結果であり、外部から有能な技術者を雇い入れるようエンジンを供給しているマクラーレンから圧力をかけられていますが、中々やろうとしません。これが、他のエンジンメーカーの技術力に及ばず酷い状態となっているホンダの一因でもあると思われます。

すなわち、チーム間では、ドライバーのみならず、チームスタッフやエンジニアも移籍(転職)があります。
チームの上層部なんかも移籍します。例えば、現在のマクラーレンのレーシングディレクターであるエリック・ブーリエは以前はロータス(現ルノー)の代表でした。
海外の企業なんかによくあることですね。
また、ドライバーが移籍すると、そのドライバーと一緒にチームスタッフも移籍することはよくあります。
さらに、有能なエンジニアがチームを移籍するときは、場合によっては所謂ガーデニング休暇を取る場合があります。
離脱したチームに関する技術情報等を移籍先のチームに持ち込ませないためですね。
チーム離脱がシーズン途中ならば次のシーズンまでガーデニング休暇を取るといったような感じです。
F1では数か月もすると最新技術は最新ではなくなりますからね。
これはまさしく、営業秘密と関連性が高い競業避止義務契約のようなものです。

このように現在のF1界では、マシンの技術開発に関する秘密情報の多さ、非常に高い人材の流動性が切り離せない要素となっています。
このため、F1界がどのように秘密情報を守っているかということを知ることは、営業秘密の漏えい防止にも多少役立つのではないでしょうか。

佐藤琢磨、インディ500優勝おめでとう!!