先日ブログに書いたイチゴの件もありましたし、農業関係では営業秘密という概念がどの程度浸透しているのか気になり、少し調べました。
そうすると、首相官邸の知的財産戦略本保のホームページで気になる資料を見つけました。
「検証・評価・企画委員会」の「産業財産権分野 第2回会合 平成28年11月25日」です。
会合日からすると、そこそこ最近の資料ですね。
ここの「議事次第・資料」における「資料3-3 農林水産省 説明資料」には、「熟練農業者のノウハウ等の営業秘密としての保護」のようにノウハウを営業秘密として保護する必要性が提起されているようです。
一方で、 この会合の「議事録」には、農林水産省の知的財産課長である杉中氏の発言として、22~23ページに、
「今後大きな課題になってくるのは、高齢者の農業ということに関して、非常に品質の高いものについて、肥料をやる、水やり、そういうのは誰にも見せないときにやるというような、ある意味、知財的な活用が行われていますが、これを形式知化するということで流出する可能性があるということです。営業秘密の保護というところの取り組みは非常に重要になってくると思いますけれども、中小企業と比べて農業者の場合は、そういったものを実際どういうふうに運用していくのかということについては、ほぼ手つかずの状況でございます。今後、こういった末端のノウハウをどうやって守っていくのかということは非常に大きな課題と思いますので、これについての取り組みも行っていきたいと考えています。」
というものがあり、この認識は非常に重要かと思います。
すなわち、営業秘密に対する啓蒙活動や運用に需要があるもののそれをする人がいない、ということかと思います。
また、農業従事者を対象とした資料とかが無いものかと思い探したら、「美味の国日本」というサイトを発見。
ここに「知的財産活用マニュアル」 なるものがあり、地理的表示、商標、種苗法、特許、実案、意匠、営業秘密、著作権、等のように項目立てされ、かなりしっかりしたマニュアルです。
ところで、このサイトの運営はどこがしているかというと、ぐるなびが平成27年度の農林水産省の補助事業で行っていました。
うーん、農業関係に対する知財活動を経済産業省でも行い、農振水産省でも行っているのか・・・。
立派な縦割りですね。
しかしながら、考えようによっては、あっちこっちでこのような活動を行っているということは、問題意識も高いということでしょうから、我々弁理士も何かしらの活動がしやすいかもしれません。
今後、日本が資本主義体制をとる限り、農業(畜産業)は前時代的な農村ではなくなり、さらにビジネスライクになることは止められないでしょう。
そして、国内だけでなく海外への輸出、食物の大量生産や高品質な食物の製造による高収益化等、純粋なビジネスとして考えた場合は、伸びしろが大きい産業分野とも考えられるのではないでしょうか。
そうすると、この産業に携わる人も多くなります。国内海外も含めた人的交流もより活発になるでしょう。
そのような場合に、今まで培ってきたノウハウをどのようにして守るのか?
特許を取るのか?秘匿するのか?
そもそも、そのノウハウは進歩性の要件を満たして特許を取れるのか?
いや、そのノウハウをオープンにして地域振興等に生かすのか?
秘匿するのであれば、そのノウハウが流出するリスクはどこにあるのか?
営業秘密として管理するのであれば、どのような秘密管理性が望ましいのか?
農業に関するノウハウを知的財産として考えた場合、様々なことを検討しなければならないと思われます。
また、農業は「地域」と密接に関係する産業分野の一つとも考えられ、他の産業分野とは異なる方策をとる必要も出てくるのではないでしょうか?
<おしらせ>
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