営業秘密関連ニュース

2020年1月27日
・元社員「数日後に情報手渡し」 ロシア側との接触に合わせたか(中日新聞)

2020年1月26日
・「日本がスパイ妄想狂仲間入り」在日ロシア大使館が批判コメント(毎日新聞)
・スパイ活動か、露外交官らに出頭要請…逮捕の元ソフトバンク社員と飲食店で会合(読売新聞)
・ソフトバンク元社員逮捕、機密情報取得の疑い ロシアに提供か(REUTERS)
・ソフトバンク元社員が不正競争防止法違反容疑で逮捕、露に漏洩と報道(Bloomberg)
・ロシア側から繰り返し接待 SB元社員機密情報漏洩か(テレ朝NEWS)
・相手の素性知らず漏えいか ソフトバンク元幹部の男(FNN)
・ソフトバンク元社員、数年前からロシア側と接触か(TBS NEWS)
・ロシア外交官が繰り返し接待 ソフトバンク元社員「スパイかも」―機密情報不正取得(JIJI.COM)
・ロシアスパイがソフトバンク社員から機密を盗んだ理由(AERA.dot)
・機密漏洩 ロシア側が身分隠して元社員に接触か(産経新聞)
・ロシア通商代表部職員、工作途中か 警視庁、漏洩被害拡大前に立件(産経新聞)

2020年1月25日
・機密情報をロシア通商代表部に提供か 不正取得容疑でソフトバンク元社員逮捕(産経新聞)
・ソフトバンク、不正取得の情報「機密性低い」(産経新聞)
・機密情報漏洩、摘発相次ぐ 東京五輪控え管理態勢強化が急務(産経新聞)
・ロシア側に営業秘密提供か ソフトバンク元社員、容疑で逮捕―警視庁(JIJI.COM)
・ロシア大使館、「反ロ的」と遺憾の意 ソフトバンク元社員逮捕(JIJI.COM)
・ロシア大使館に職員らの出頭を要請(KYODO)
・在日ロシア職員、スパイ活動か 警視庁、ソフトバンク元社員逮捕(東京新聞)
・露通商代表部職員に機密情報漏えいか データ不正取得容疑でソフトバンク元社員を逮捕(毎日新聞)
・ロシアによるスパイ活動か SB営業秘密を不正入手疑い(朝日新聞)

2020年1月14日
・ポンペオ氏、中国の知的財産窃取「許さない」 米先端企業に自制要請(Sankei Biz)

2020年1月12日
・デジタルデータの貿易・流通対策 「覇権」封じる国際ルールの確立を(Sankei Biz)

2017年7月18日火曜日

営業秘密の3要件:有用性-特許との関係- その2 

営業秘密の3要件の一つである有用性について気になる判例をもう一つ。

なお、本記事は、私がパテントに寄稿した「営業秘密における有用性と非公知性について」(パテントvol.70 No.4,p112-p122(2017) を一部抜粋したものを含みます。

錫合金組成事件(大阪地裁平成28年7月21日判決)を紹介します。
この判決において裁判所は、「原告ら代表者は、陳述書(甲20)において、本件合金の有用性を説明するが、本件合金がその説明に係る効果を有することは、客観的に確認されるべきものであり、関係者の陳述のみによって直ちにそれを認めることはできない。」と判断しています。
すなわち、この事例において、裁判所は、技術情報の有用性を示す効果は客観的に確認される必要があるとし、前回のブログで紹介した発熱セメント体事件ほど明確ではないものの、特許における進歩性の判断と同様の判断を行っているとも解されます。

なお、営業秘密管理指針において「「有用性」が認められるためには、その情報が客観的にみて、事業活動にとって有用であることが必要である。」とのように、有用性に対して客観性を求める記載があります。この点に関して、錫合金組成事件における裁判所の判断は、営業秘密管理指針における有用性の説明と一致していると考えられ、錫合金組成事件は、技術情報に係る営業秘密の有用性判断について重要な事例であるとも思われます。


ここからは私見ですが、営業秘密における有用性の判断は、このような判断でよいのでしょうか?

ここで、経営情報である顧客情報の有用性を判断するにあたり、営業秘密における有用性と非公知性について裁判所は、その顧客情報が非公知であれば、原告がその効果(例えば、その顧客情報を用いたことによる売り上げの増加等)を客観的に確認できる証拠の提出を求めることもなく、経済的に有用であると判断している割合が高いようです。

換言すると、顧客情報の有用性については原告の主観が認められ易いとも考えられます。
他方、錫合金組成事件における技術情報に係る裁判所の判断は、関係者の陳述のみによって有用性を認めることなく、その効果が客観的に確認される証拠の提出がなければ有用性を認めないとしており、顧客情報(経営情報)に対する有用性の判断との間で整合性が取れていないとも思えます。このように、技術情報の効果(効果)について、客観的に確認されるべきものとすることは、特許における進歩性の判断にも類するものと考えられ、技術情報を営業秘密と認めるにあたり、ハードルを高くすることとなり得るのではないでしょうか。

例えば、その効果を客観的に確認することが難しいために、拒絶される可能性を考慮して特許出願を選択せずに、敢えて営業秘密として管理する技術情報も当然あると考えられます。営業秘密として認められるために効果が客観的に確認される必要があるのならば、このような理由で秘密とされた技術情報は営業秘密として認められない可能性があります。

また、企業が営業秘密として管理する技術情報の中には、例えば、技術開発の途中であるために、技術者が主観的には効果がありそうだとしながらも、その効果を客観的に確認できる状態にまで至っていないものも当然あると考えられます。
すなわち、未完成の技術であって、さらなる研究開発によって顕著な効果が期待できるものの、未だその効果が明確に得られるものとなっていない技術情報も営業秘密として守られるべきではないでしょうか。しかしながら、効果が客観的に確認されるものを営業秘密として保護の対象とする技術情報であるとされると、上記のような技術情報も営業秘密として守られないこととなります。

さらに、経営情報との整合性を満たすのであれば、逆に、顧客情報についても、原告はその効果を客観的に確認できる証拠を提出するべきであろうし、そうであるならば被告は、原告から取得した顧客情報を用いても、新たな顧客の獲得や売り上げの増加を得られなかったとして、取得した顧客情報の有用性を争うことも可能になるとも考えられます。このように、顧客情報等の経営情報についてその効果の客観性を厳密に求めると、顧客情報が営業秘密として守られない場合が生じると考えられます。
このようなことから、技術情報に関しても経営情報と同様に、その有用性は客観性を厳密に求めることとせずに、その効果を明確に否定でき得るような証拠がない限り、その効果が関係者の陳述等の主観的なものであっても認めるべきではないでしょうか。