営業秘密関連ニュース

2019年4月24日
・<米国> GE元エンジニアら2人を産業スパイ罪で起訴 米司法省(朝日新聞)
・<米国> 米司法省、GE元技術者ら産業スパイで起訴 中国政府関与(日本経済新聞)
・<米国> 米、産業スパイでGE元技術者ら起訴 「中国が金銭など支援」(REUTERS)

2019年4月24日
・技術流出防止を大学にも 外国企業との共同研究で(毎日新聞)

2019年4月16日
・韓国子会社の事業撤退=「司法判断に懸念」-半導体関連のフェローテック (JIJI.COM)
・当社韓国連結子会社に対する民事訴訟の提起に関するお知らせ (フェローテック リリース)
・韓国子会社におけるCVD-SiC 事業からの撤退に関するお知らせ (フェローテック リリース)

2019年4月2日
・元日経社員を書類送検 (日経新聞)
・日経新聞元社員を書類送検=賃金データ漏えい容疑-警視庁 (JIJI.COM)
・日経新聞の社員情報3千人分持ち出しか 元社員書類送検 (朝日新聞)


2019年3月25日
・本日の一部報道について(株式会社No.1 リリース)
・他社の顧客情報不正取得疑い No.1取締役ら書類送検 (日経新聞)

2019年4月4日木曜日

元号が令和になりましたが、日本政府の秘密保持の意識は低すぎ・・・。

令和という新しい元号は事前に漏えいすることなく発表されました。
しかしながら、他の元号案については当面非公表としているにもかかわらず、既に漏えいされています。

毎日新聞4月2日「「英弘」「久化」「広至」「万和」「万保」 新元号原案の全6案判明」
KYODO4月1日「他の元号原案は非公表と菅官房長官」
JIJI.COM3月18日「新元号の考案者、当面非公表=政府、公文書には記録」

毎日新聞の報道によると「政府関係者」からとあります。
しかも、「考案者のプライバシーに配慮する」(上記JIJI.COM)ために非公表としたにもかかわらず、考案者と思われる人物の名前まで明かされてしまっています。政府は非公表とすることを考案者の方々に事前に伝えているでしょうし、それを自ら望む考案者の方もいるかもしれません。個人のプライバシーは配慮されてしかるべきにもかかわらず、政府関係者がそれを漏えいして新聞社が報道する、もうやりたい放題ですね。

このように日本政府から内部漏えいが生じていることは、既に巷で言われているように非常に恐ろしいことだと思います。 元号原案だけでなく、その他の秘密事項も漏えいされている可能性もあるのではないでしょうか。さらに、政府が非公表とした情報がたったの1日で漏えいされるという政府による情報管理の甘さは衝撃的です。


ここで、この元号原案が営業秘密となり得るのかを検討しますと、秘密管理性、非公知性は認められるでしょうが、有用性はどうでしょうか。
有用性は事業活動に有用と解されますが、元号原案は事業に用いるものとは解され難いと思われます。そうであるならば、元号原案は、有用性が認められず、営業秘密とは判断されないかもしれません。

もし、元号原案が営業秘密であるとしても、民事的保護は受けられるでしょうか?
民事的保護としては、日本政府が原告、漏えい者が被告となり、日本政府が差し止めや損害賠償を求めることになるのでしょう。しかしながら、元号原案は既に漏えいの結果、広く知れ渡っているために差し止めは意味を為さないでしょうし、日本政府に実質的な損害はないと考えられるので損害賠償も認められないでしょう。

では、刑事責任はどうでしょうか?ここで、木村 光江 著「営業秘密侵害罪と情報に対する刑事的保護について」法学会雑誌 59巻1号(2018年7月)の44頁の注釈11には以下のようにあります。

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営業秘密に関する刑事罰については,当初,すべて「不正の競争の目的」という主観的要件が必要とされていた。これは,不正な競争行為を目的とする場合に限る ことにより,内部告発や取材・報道活動が処罰対象から除外されることを明確にするためであると説明されている。経済産業省知的財産政策部会「不正競争防止法の 見直しの方向性について」(2015 年)10-11 頁,玉井克哉「営業秘密侵害罪における図利加害の目的」警察学論集68 巻12 号(2015 年)53 頁参照。」
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 このように、「報道」目的の漏えいは刑事罰の対象からは除外されるようなので、今回の件も、たとえ営業秘密と認められようとも刑事責任を負わせることは難しいかもしれません。

しかしながら、日本政府はこの漏えいさせた関係者を見つけ出し、他の法域を用いる等して何らかの処分は行うべきでしょう。
そうでないと、秘密情報は秘密としなくてもよいというような間違った認識を政府内に生じさせかねませんし、やはり処分を行うことがこのような事例に対する対応策の一つかと思います。

弁理士による営業秘密関連情報の発信