営業秘密関連ニュース

2020年4月7日
・N国党首を書類送検 NHK契約者情報を不正入手の疑い(朝日新聞)
・N国・立花党首を書類送検 NHK契約情報、不正取得か―警視庁(JIJI.COM)
・「個人情報まきちらしていいか」 N国党首と元徴収員を書類送検(産経新聞)
・N国党首を書類送検 個人情報不正取得疑いで警視庁(日経新聞)
・N国の立花党首を書類送検…「ネットに情報拡散」とNHKの業務妨害容疑 (読売新聞)
・N国党首を書類送検 NHK脅し業務妨害容疑 (毎日新聞)

2020年3月27日
・日本ペイント元役員に有罪判決 情報漏えい事件 名古屋地裁(毎日新聞)
・製造情報漏えい、懲役2年6月 日本ペイント元幹部―名古屋地裁(JIJI.COM)
・菊水化学元常務に有罪判決 塗料データ漏洩事件で名古屋地裁 (日本経済新聞)

2020年3月23日
・<韓国><米国>米ITC「SKイノ、バッテリー訴訟で故意的証拠隠滅、法廷冒とく」(中央日報)

2020年3月23日
・<米国>グーグルの元エンジニア、自動運転技術を盗んだ罪を認める(CNET Japan)

2020年3月16日
・N国・立花党首「罪を償う覚悟できている」 警察の任意聴取で(産経新聞)
・N国・立花党首が記者会見 「罪の償いはしたい」(TBS NEWS)

2020年3月15日
・N国・立花党首、反省動画を投稿 「償うべき罪を償う」(毎日新聞)
・N国・立花党首から聴取 NHK契約者情報など不正取得の疑い 事務所も捜索(毎日新聞)
・警視庁、N国党首を任意聴取 NHK徴収員の情報暴露と脅迫疑い(産経新聞)
・N国関係先を家宅捜索 NHK契約情報、不正取得か―立花党首の任意聴取も・警視庁(JIJI.COM)

2019年7月4日木曜日

ー判例紹介ー 営業秘密と認められなかった情報の使用は不法行為になるのか?

営業秘密の民事訴訟には様々な事例があります。
例えば、営業秘密と主張する情報を訴訟の相手が利用したとしても、営業秘密侵害とは判断されない場合もあります。その理由は、結局のところ営業秘密の3要件を満たしていないと裁判所が判断される場合が多いです。
では、営業秘密と認められなかった情報を使用したことを訴訟の相手が認めている場合、この使用は不法行為となり得るのでしょうか?

今回はそのような裁判例を紹介します。
この事件(大阪地裁平成30年 6月21日判決(平30(ネ)1745号))は、ニット製品の卸売業者である原告会社がニット製品の製造販売業者である被告に対し訴訟を提起した事件の反訴事件です。反訴事件であるために、一般的な営業秘密に関する訴訟とは異なり、被告が営業秘密の保有者であり、原告が被告の営業秘密を使用したとされる立場にあります。すなわち、本事件は、被告から開示されたニット製品の製造方法を原告が利用してニット製品を製造したとして、これが営業秘密の不正使用行為であると被告が主張しています。

この事件の経緯は以下のようなものです。被告が自ら製造する4つのニット製品(4の商品)を他社(訴外)に販売することを原告会社に委託した(準問屋契約の成立)にもかかわらず、被告がこれら商品を製造しなかったこというものです。
この原告会社は、被告との契約があるために、上記他社との間で原告会社が和紙糸を使用したニット製品を製造して上記他社に供給するという製造物供給契約を締結していました。
このため、原告会社は、自身で下請けにニット製品を製造させることになり、原告会社は、被告が商品を製造しなかったことにより積極損害を被ったなどとして、被告に対して損害賠償等を請求する本訴事件を提起しました。
一方、被告は、原告らが被告から開示を受けた本件製造方法の情報を使用したことにより損害を被ったなどとして、原告らに対して損害賠償金を支払請求に係る訴えを提起しました(本件反訴事件)。

なお、本判決文において「原告会社が下請けに製造させたニット製品は,被告が営業秘密であると主張する情報の一部と同じ内容の情報を利用して製造されたものであることは当事者間に争いがない」と記載されているように、原告会社は被告の情報を利用してニット製品を製造したようです。


しかしながら、被告が営業秘密であると主張する情報は、非公知性の喪失、秘密管理性は認められないとしてその営業秘密性は否定されました。従って、原告は被告の主張するような営業秘密の不正使用はなかったと裁判所は判断しています。

また、被告は「仮に本件製造方法の情報の営業秘密該当性が肯定されなかったとしても,原告らが本件製造方法の情報を利用してニット製品を製造したことは,これを利用してニット製品を製造してはならないという原告P1と被告との間の委託信任関係に背くものであるから,原告P1との関係では一般不法行為を構成する」のとののように主張しました。

これに対して、裁判所は、下記のように判断して一般不法行為も否定しました。
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まず,原告P1と被告との間で,本件製造方法の情報を使用してニット製品を製造してはならないとの合意がされたことを認めるに足りる証拠はない。また,市場における競争は本来自由であるべきことに照らせば,不正競争行為に該当しない行為については,当該行為が,市場において利益を追求するという観点を離れて,殊更に相手方に損害を与えることのみを目的としてなされたような営業の自由の濫用と見るべき特段の事情が存在しない限り,一般不法行為を構成することはないというべきである。
この点,被告の主張は,結局のところ,原告P1が営業秘密の不正使用という不正競争行為をしたという点に帰着するものにすぎず,その主張を前提としても上記特段の事情があるとは認められない。したがって,原告らが本件製造方法の情報を利用してニット製品を製造したことが一般不法行為を構成するという被告の主張は採用できない。
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このように、営業秘密ではないと判断された情報の他者の使用について一般不法行為が認められるためには、「市場において利益を追求するという観点を離れて,殊更に相手方に損害を与えることのみを目的としてなされたような営業の自由の濫用と見るべき特段の事情」を必要とします。

この「特段の事情」が具体的にはどのような事情であるかは、この判決からは不明ですが、想像するに相当ハードルの高い事情であるかと思います。それは当然のことであり、ハードルが低いのであれば、3つの要件を必要とする営業秘密に対する不法行為で提起する必要がなくなりますからね。

また、営業秘密と認められない場合であっても、秘密管理性が認められていたら、秘密保持義務違反を問うこともできるかと思いますが、本事件では秘密管理性が認められなかったためにそれも無理であったと考えられます。
なお、裁判所は「原告P1と被告との間で,本件製造方法の情報を使用してニット製品を製造してはならないとの合意がされたことを認めるに足りる証拠はない。」と判示しております。もし、原告と被告との間で、「本件製造方法の情報を使用してニット製品を製造してはならない」との合意がされていた場合には、上記特段の事情になるのかもしれません。

この判決からは理解できることは、他者に情報を開示する場合には他者が当該情報を許諾無く使用することも想定し、それを防ぐ対策を取る必要があることかと思います。

弁理士による営業秘密関連情報の発信