2017年6月28日水曜日

営業秘密関連リンクを更新

上にある↑「営業秘密関連リンク」を更新しました。
ときどき更新してますけどね。
今回は、農業関係のリンクを追加しています。

しかし、この「営業秘密関連リンク」の存在に皆さん気が付いていないようですね。
ブログを始めてから、おそらく「営業秘密関連リンク」への私以外のアクセスはおそらく
です。

このブログを始めようと思った理由の一つに、営業秘密に関するリンク集って誰も作ってないようだな、と思ったためでもありまして、今後もこのリンクは充実させたいと思います。
逆に、誰も作ってないし、誰もアクセスしないということは需要がまだないのかな?

2017年6月27日火曜日

農業ICT知的財産活用ガイドライン

引き続き、農業と営業秘密の関係で何かないかと探していたら、
農業ICT知的財産活用ガイドライン」なるものが発表されていたことを知りました。

ちょうど2年ほど前に、農林水産省の補助事業「平成27年度農業IT知的財産活用実証事業」の一環として、慶応義塾大学がまとめたもののようです。
(参考:http://agrifood.jp/2016/06/2726/
また、農林水産省も食料産業局というところが、「AI(アグリ・インフォマティクス)農業について」というホームページを作成しており、「ICT技術を用いて「形式知」化し、他の農業者や新規参入者等に継承していく」という事業を推し進めているようです。

このガイドラインは、その一環のようでして、農業現場の知的財産権を活用していくことを目的とし、図表20がそれを端的にしみしているかと思いますが、熟練農家や生産団体(知的財産提供者)が培った農業現場のノウハウをサービス提供者(ICT企業)へ提供し、サービス提供者がICT技術を用いて、利用者へ提供する仕組みのガイドラインのようです。また、知的財産提供者は、サービス提供者から対価を得ることも明示されています。



そして、「知的財産提供者がサービス提供者に開示する情報を秘密情報(営業秘密)としましょう。さらに、その内容を文章化して特定可能なようにしましょう。」ということがこのガイドラインには記載されています。
このように、農業現場のノウハウを営業秘密として考え、それの開示対象者(サービス提供者)に対してもそれを明示するということをガイドラインに記していることはちょっと特徴的かと思います。さらには、農業を生業としている方もこのような考えを身に付ける必要に迫られると思います。

ここでいう、サービス提供者のみならず、企業が農業に進出する際には、既存の農家の方からノウハウを得る可能性が考えられます。その際に、農家の方は、情報管理を適切に行わないと、自身が培ったノウハウを無料で提供することになりかねず、将来的に自身の市場を失いかねません。
そう、一昔前に、日本の企業が韓国や中国に技術を教えて育てた挙句に、市場を奪われた構図と同様ですね。

そうならないためにも、農家の方も、日ごろから独自のノウハウは何なのかを把握し、秘匿するという意識を持つべきかと思います。そして、その提供を求められた場合に、そのノウハウを本当に開示していいのか?開示するのであればその対価を求めること、開示するにあたっても開示範囲を明確にすること、この認識は必要かと思います。

また、ノウハウを営業秘密とすることによって、農家はその保有者としての権利を主張できるようになります。すなわち、正当に営業秘密を開示された者といえども、不正の利益を得る目的や、営業秘密の保有者に損害を加える目的で、その営業秘密を使用したり、開示する行為は不正競争防止法によって罰せられます(不競法第2条第1第7号)。
このため、サービス提供者は、知的財産提供者から開示されたノウハウの取り扱いは十分に注意する必要があります。

ただ、気になることは、やはりこのガイドラインがどの程度農家の方に浸透しているかですよね・・・。

2017年6月25日日曜日

農業分野における営業秘密

先日ブログに書いたイチゴの件もありましたし、農業関係では営業秘密という概念がどの程度浸透しているのか気になり、少し調べました。

そうすると、首相官邸の知的財産戦略本保のホームページで気になる資料を見つけました。
検証・評価・企画委員会」の「産業財産権分野 第2回会合 平成28年11月25日」です。
会合日からすると、そこそこ最近の資料ですね。
ここの「議事次第・資料」における「資料3-3 農林水産省 説明資料」には、「熟練農業者のノウハウ等の営業秘密としての保護」のようにノウハウを営業秘密として保護する必要性が提起されているようです。
一方で、 この会合の「議事録」には、農林水産省の知的財産課長である杉中氏の発言として、22~23ページに、
「今後大きな課題になってくるのは、高齢者の農業ということに関して、非常に品質の高いものについて、肥料をやる、水やり、そういうのは誰にも見せないときにやるというような、ある意味、知財的な活用が行われていますが、これを形式知化するということで流出する可能性があるということです。営業秘密の保護というところの取り組みは非常に重要になってくると思いますけれども、中小企業と比べて農業者の場合は、そういったものを実際どういうふうに運用していくのかということについては、ほぼ手つかずの状況でございます。今後、こういった末端のノウハウをどうやって守っていくのかということは非常に大きな課題と思いますので、これについての取り組みも行っていきたいと考えています。」
というものがあり、この認識は非常に重要かと思います。
すなわち、営業秘密に対する啓蒙活動や運用に需要があるもののそれをする人がいない、ということかと思います。

また、農業従事者を対象とした資料とかが無いものかと思い探したら、「美味の国日本」というサイトを発見。
ここに「知的財産活用マニュアル」 なるものがあり、地理的表示、商標、種苗法、特許、実案、意匠、営業秘密、著作権、等のように項目立てされ、かなりしっかりしたマニュアルです。
ところで、このサイトの運営はどこがしているかというと、ぐるなびが平成27年度の農林水産省の補助事業で行っていました。
うーん、農業関係に対する知財活動を経済産業省でも行い、農振水産省でも行っているのか・・・。
立派な縦割りですね。
しかしながら、考えようによっては、あっちこっちでこのような活動を行っているということは、問題意識も高いということでしょうから、我々弁理士も何かしらの活動がしやすいかもしれません。



今後、日本が資本主義体制をとる限り、農業(畜産業)は前時代的な農村ではなくなり、さらにビジネスライクになることは止められないでしょう。
そして、国内だけでなく海外への輸出、食物の大量生産や高品質な食物の製造による高収益化等、純粋なビジネスとして考えた場合は、伸びしろが大きい産業分野とも考えられるのではないでしょうか。
そうすると、この産業に携わる人も多くなります。国内海外も含めた人的交流もより活発になるでしょう。
そのような場合に、今まで培ってきたノウハウをどのようにして守るのか?
特許を取るのか?秘匿するのか?
そもそも、そのノウハウは進歩性の要件を満たして特許を取れるのか?
いや、そのノウハウをオープンにして地域振興等に生かすのか?
秘匿するのであれば、そのノウハウが流出するリスクはどこにあるのか?
営業秘密として管理するのであれば、どのような秘密管理性が望ましいのか?

農業に関するノウハウを知的財産として考えた場合、様々なことを検討しなければならないと思われます。
また、農業は「地域」と密接に関係する産業分野の一つとも考えられ、他の産業分野とは異なる方策をとる必要も出てくるのではないでしょうか?

2017年6月22日木曜日

東芝の半導体部門、日米韓連合への売却交渉

またまた時事ネタです。

21日のニュースで東芝の半導体部門、日米韓連合への売却交渉と報道されています。
この報道では、日米韓とは、日本は革新機構と日本政策投資銀行や民間企業、米国は投資ファンドのベインキャピタル、韓国はSKハイニックスとあります。

おいおい、SKハイニックス?も加わった企業連合に売却確定?
先日のブログでもちょっと触れましたが、SKハイニックスは、東芝の半導体製造技術の営業秘密を不法に取得した会社です。
この事件は、営業秘密の漏えいで初めて執行猶予無しの実刑(懲役5年)が確定した事件です。

まあ、ちょっと前から東芝の半導体部門をSKハイニックスが狙っているという噂のような報道はありましたし、また、営業秘密の漏えいを機に東芝はSKハイニックスと共同開発なんかもやっていたようですけどね。

今回の売却交渉では、SKハイニックスは出資ではなく融資であり、経営権は握らないため技術流出や人材流出の懸念はないとのことです(参照:毎日新聞21日記事)。
ここからは素人考えですが、SKハイニックスが金だけ出すわけないですよね。
当然、SKハイニックスは、長期的なことを視野に入れ、分社化された半導体部門を経営権を握ることを模索するでしょうね。ベインキャピタルの持ち分をSKハイニックスが手に入れるとか。
そんなこと素人でも想像できるので、東芝及び政府側もその可能性は分かっているのでしょう。
それとも契約でSKハイニックスを雁字搦めにしているのでしょうか?

ところで、東芝の営業秘密をSKハイニックスへ漏えいさせた犯人(漏えい者)は、未だ刑務所に入っているのでしょうが、もし、東芝の半導体部門がSKハイニックスのものになったら何を思うのでしょうか?



2017年6月21日水曜日

イチゴ品種の韓国への流出

日本農業新聞に6月20日付けで「イチゴ品種 韓国に流出 損失5年で220億円 農水省試算」との記事がありました。
このような話は度々聞く話ですね。
東芝の半導体製造技術が韓国のSKハイニックスに流出したり、新日鉄の鋼板製造技術が韓国のポスコに流出したり・・・。

この記事の中では、「栃木県の「とちおとめ」や農家が開発した「レッドパール」「章姫」などが無断持ち出しなどで韓国に流出し、」とあります。
無断持ち出しって・・・、苗や種でしょうか。普通に窃盗ですよね。
それに、これこそ営業秘密として管理されるべきものではないでしょうか。

なお、顧客情報や技術情報等のデータのみならず、このような苗や種も営業秘密の対象となる考えられます。
例えば、東京地裁平成22年4月28日判決(平成18年(ワ)第29160号)では、苗や種でないものの、コエンザイムQ10の生産菌を営業秘密として認めた判例があります。
また、不正競争防止法では、平成27年改正において「日本国外において使用する目的で、営業秘密を取得した者」に対しては、「十年以下の懲役若しくは三千万円以下の罰金」(二十一条3項)とされています。一方で、「日本国外において使用する目的」という要件がない場合には、「十年以下の懲役若しくは二千万円以下の罰金」(二十一条1項)とされており、国外で使用する目的で営業秘密を漏えいさせる場合の方がより重い罪とされています。
この法目的は、まさに、海外へ営業秘密が漏えいすることを防止することにあります。

記事にあるように、品種登録も手の一つのなのでしょうが、営業秘密の漏えいに関して法整備が進んでいるわけで、自分の技術を守ろうとするのであれば、それなりの対応が必要ではないでしょうか?
例えば、海外からの研修生であっても、秘密保持契約を行い、また、日本の法律における営業秘密の漏えいについても教育を行い、まずは漏えいしないようにするべきかと思います(そもそもたエ種や苗の持ち出しは窃盗ですが・・・)。


2017年6月19日月曜日

特許庁における知的財産分科会

先日特許庁の「お知らせ」において「特許庁における知的財産分科会」の第10回議事録を掲載したことが告知されていました。

ざっと斜め読みし、営業秘密やデータの利活用についてどんな発言がされているのか見てみました。

データの保護に関しては、原状において企業は営業秘密として管理している場合が多いようです(p.11)
さらに、p.11には「営業秘密としての保護ではないのだけれども、ある一定の条件のもとで管理しているものについて、例えば、コピーされたり、模写、複製でばらまかれたりすることによって、権利の無い方々が取得あるいは使用することを止めてほしい、そしてさらに差止を行いたいといった御意見をいただいてきたのが、この検討を始めるに当たっての出発です。 」
との内容が記載されており、やはり「営業秘密」として管理されていないデータであっても、「管理」されているデータに関しては保護する方向に検討しているようですね。
ところで「管理」の定義はどうなるのでしょうか?
考え方によっては、サーバ内に記憶されているデータは全てが「管理」されていると言えるかもしれません。一応、誰かがフォルダの指定等を行いデータを記憶させているのですからね。

また、データに含まれるものとしてp.12には「 データと書かせていただきましたけれども、人間が目や耳で感知することができないもの、例えば、位置情報であるとか、電気的な変化であるとかを暗号化などしたデータの流通も今後増えてくると思いますので、その辺に対しても保護対象として追加してはいかがかといった検討を行っております。」
との記載があり、データは非常に広範囲なものになりそうですね。




さらに、この議事録には日本弁理士会会長が以下のように発言しています(p.37)。
「このほか、オープン・クローズ戦略、それから営業秘密のほうも弁理士にしっかり対応できるように計画して、研修を強化していこうと思っています。
 そのほか、ここで入っていますデータの保護については、これから具体的な法整備に入るということになると思いますが、弁理士も積極的にこの保護に関与していこうと思っております。
 それについて、この法整備を進めるとともに、できれば弁理士が関与しやすい法環境を整備していただけたら非常にありがたいなと思っております。 」

ちなみに、不正競争防止法の営業秘密における弁理士の業務内容は、「技術上の秘密関連に限る」との限定が入っております。(参考:日本弁理士会「不正競争防止法における弁理士の業務」
そうすると、「データ」を不正競争防止法の保護範囲とした場合には、このデータ(例えばビッグデータ)は「技術上の秘密関連」になるのでしょうか?
例えば、膨大な数におよぶ電車の乗降者数のビッグデータ等は、単なる数値の羅列に過ぎないでしょう。そうすると、このビッグデータを使用するソフトウェア等は「技術」でしょうけれど、「ビッグデータ」そのものは技術といえるのでしょうか?
いわゆる非弁行為とならずに「弁理士」としてどこまで関与してよいのか?確かに、データの保護に付随して、弁理士に対する法環境の整備は必要だと思います。

2017年6月15日木曜日

営業秘密とF1


無理やり自分の趣味と営業秘密を絡めちゃいます。
まあ、無理やりというほどでもありませんが。

モータスポーツであるF1(Formula 1)は、現在10チームが参戦していますが、その全てが独自にマシン(シャーシ)を作っています。そして、エンジンは、現在ではメルセデス、フェラーリ、ルノー、ホンダから選んで搭載します。

今のエンジン(パワーユニット)は、内燃機関(ターボエンジン)+回生システム(モータ)のハイブリットであり、リアブレーキからの回生を利用したMGU-K、ターボからの回生を利用したMGU-Hで構成されています。そして、エネルギー回生が行われるリアブレーキは、通常の油圧制御ではドライバーが精度良くコントロールすることが難しいため、電子制御(BBW)が行われます。これらのシステムは、ソフトウェアによる電子制御が行われています。
さらに、F1のシャーシは、主として、いかにしてダウンフォースを生み出す車体構造とするかが課題であり、近年のフロントウィングやリアウィング等の空力パーツは曲面が多用された3次元構造となっています。そして、車体そのものはほとんどがカーボンファイバーによって形成されており、その製造技術も多くのチームは所有しております。

このように、私のような素人には説明が難しい高度技術(F1以外での使い道は?)が盛りだくさんでして、興味のない人にはまったく意味不明な技術かとおもいます。

そして、各F1チームやエンジンメーカーは、高い技術力を有しているのみならず、F1で勝つために日々技術開発に邁進しています。
その技術開発のスピードは非常に速く、前レースにおける技術的な問題点は2週間後の次レースまでには解決させる、といった感じです。
それをやり続けるチームが強いチームということになります。
で、それが失敗すると、マクラーレンにエンジンを供給している現在のホンダのように惨憺たる結果となり、企業イメージも悪化します。

では、チームはどのように技術開発を行うかといいますと、異論もあるかと思いますが「模倣」です。遅いチームに限らず、どのチームも他のチームが良い技術を導入した場合には、その技術を模倣します。そのため、新しい技術を導入したチームは、その技術が分からないように「隠す作業」を行ったりもします。

おっ、だんだん営業秘密っぽい話になってきましたね。

そして、過去にスパイ活動も実際にあったりします。
それが2007年にマクラーレンとフェラーリの間で起きました。
フェラーリのマシンに関する資料がマクラーレンに渡ったというものです。
これにより、マクラーレンは2007年のコンストラクターズポイント剝奪と共に1億ドルの罰金がFIA(国際自動車連盟)から科されています。
このように、F1のチーム間でも技術情報を盗みとることには厳罰が下されます。

また、F1界では人材の流動が激しく、技術がないならその技術を有する人を雇うということが一般的です。
ちなみに、この様な考え方は、未だ古い体質の日本企業では受け入れ難いようです。現在ホンダが惨憺たる結果であり、外部から有能な技術者を雇い入れるようエンジンを供給しているマクラーレンから圧力をかけられていますが、中々やろうとしません。これが、他のエンジンメーカーの技術力に及ばず酷い状態となっているホンダの一因でもあると思われます。

すなわち、チーム間では、ドライバーのみならず、チームスタッフやエンジニアも移籍(転職)があります。
チームの上層部なんかも移籍します。例えば、現在のマクラーレンのレーシングディレクターであるエリック・ブーリエは以前はロータス(現ルノー)の代表でした。
海外の企業なんかによくあることですね。
また、ドライバーが移籍すると、そのドライバーと一緒にチームスタッフも移籍することはよくあります。
さらに、有能なエンジニアがチームを移籍するときは、場合によっては所謂ガーデニング休暇を取る場合があります。
離脱したチームに関する技術情報等を移籍先のチームに持ち込ませないためですね。
チーム離脱がシーズン途中ならば次のシーズンまでガーデニング休暇を取るといったような感じです。
F1では数か月もすると最新技術は最新ではなくなりますからね。
これはまさしく、営業秘密と関連性が高い競業避止義務契約のようなものです。

このように現在のF1界では、マシンの技術開発に関する秘密情報の多さ、非常に高い人材の流動性が切り離せない要素となっています。
このため、F1界がどのように秘密情報を守っているかということを知ることは、営業秘密の漏えい防止にも多少役立つのではないでしょうか。

佐藤琢磨、インディ500優勝おめでとう!!



2017年6月11日日曜日

第四次産業革命を視野に入れた不正競争防止法に関する検討

ビッグデータに対する独占禁止法の指針で思い出しましたが、少し前に以下のようなものが
経済産業省から発表されていました。

「第四次産業革命を視野に入れた不正競争防止法に関する検討 中間とりまとめ」

第四次産業革命とは何ぞや、ということは置いといて、 資料1を見ると、「データ」を不正競争防止法で保護しようという流れがあるようです。

色々な案があるようですが、最も核となるものとして、以下のようなものを不正競争防止法に追加することが検討されているようですね。

「不正な手段によりデータを取得する行為や、不正な手段により取得されたデータを使用・提供する行為を、不正競争行為とする。」

営業秘密に関する規定と似通っていますが、営業秘密とは別に新たに2条1項に追加されるのでしょうか。
ここでいうデータとは、「価値あるデータ」とされているようですが、具体的には何でしょうか?
また、この案で保護対象となるものは、「営業秘密として管理されていない情報」のようです。
確かに、「営業秘密として管理されている情報」は、既に不競法で保護対象とされているわけですからね。
そうなると、保護対象とする「データ」がなんであるかがどのように規定されるのかが非常に興味深いです。
現代において、あらゆる情報がデジタルデータとして管理されています。 どのような「データ」=情報でも保護対象となるのであれば、「営業秘密」としてデータ(情報)を管理する必要はなくなるのでしょうか?

そのような解釈は乱暴すぎるので、「営業秘密」として管理されているデータ(情報)と改正案で保護対象とされる「データ」との違いが明確化されるはずです。

「データ」は、所謂ビッグデータを想定しているのでしょうか?
ビッグデータは、時々刻々と変化していると思われるので、ビッグデータを「営業秘密」として特定することは少々難しいような気もします。
ビッグデータが、もし持ち出されたとしても、ビッグデータが時々刻々と変化していたら、持ち出したビッグデータの特定をどうやるのか?何らかの方法で、時々刻々と変化しているビッグデータをリアルタイムで不正にダウンロードし続けていたら、どうなるのか?
「営業秘密」として管理されてる秘密情報は、時々刻々と変化し続けるデータは対象として想定されていない気もします。

そうすると、そのようなデータを保護する規定を新設する意義はやはり大きいのではないでしょうか。

ちなみに、第四次産業革命に対する知財ということで、経済産業省は「第四次産業革命を視野に入れた知財システムの在り方に関する検討会」を行い、このまとめも行っていたようです。

2017年6月7日水曜日

ビッグデータと営業秘密

時事ネタに絡めて営業秘密を考えます。

先日、日経において「公正取引委員会は、個人情報などビッグデータを特定企業が独占するのを防ぐため、新たな指針をまとめる。」との報道がなされました。

公正取引委員会のホームページ (平成29年6月6日)「データと競争政策に関する検討会」報告書について

一方、昨年、やはり日経において「ビッグデータについて、経済産業省と特許庁は「営業秘密」として保護を強化する。」との報道もされていました。

ビッグデータは、独占禁止?それとも保護強化?
どっちですか?
キーワードは、データの「囲い込み」と「共有」のようですね。

ちょっと興味深い経済産業省の資料を見つけました。平成28年3月の資料です。
産業構造審議会 新産業構造部会(第7回)‐配布資料
資料4-1 データの利活用等に関する制度・ルールについて

上記資料4-1では、どちらかというと、ビッグデータを「囲い込み」よりも「共有」して利活用したいとの方針を感じます。「囲い込み」とは秘密情報(営業秘密)化ということでしょうね。
そして、この資料でも独占禁止法や営業秘密との兼ね合いが考慮されているようです。

ここで、しばらく前に、JRが電車乗降客の移動を示すsuicaのビッグデータを日立に販売したことが問題視され、中止に至ったことがありました。
http://biz-journal.jp/2013/08/post_2760.html
このときは、個人情報保護が懸念されたようですが、上記記事にあるように個人情報を販売するわけではないですよね。
しかし、様々な人々が利用するからこそ得られるsuicaのビッグデータをJR東日本が自由に売買できるということ、そして、それを特定の企業のみが使えるということを疑問視する考えも分かります。

このような、一般的なインフラから得られるビッグデータは、独占(囲い込み)されるものではなく、共有化して誰でも利用可能とする、これが今回の公正取引委員会の指針の目的でしょうか。

一方で、suicaの例を取ると、そもそもsuicaのシステムはJR東日本の技術開発と普及活動の賜物であって、それから得られるビッグデータはJR東日本のものでもあるという考え方もあると思います。
すなわち、JR東日本は、suicaシステムに対する投資インセンティブとして当然にそれから得られるビッグデータを自由に利用できるという考えです。

また、JRの他にもビッグデータを所有している企業は、アマゾン、グーグル、トヨタ等、複数あるようです。また、データ通信や大容量記憶媒体、さらにはIoTの進化によっても、ビッグデータを所有する企業は益々増えるでしょう。

このように、「共有」と「囲い込み」のバランスを取りながらビッグデータの利活用が今後どのように促されるかが非常に興味深いですね。









2017年6月4日日曜日

営業秘密の漏えいに関する近年の刑事罰

 営業秘密の漏えいに関して刑事罰が適用された近年の主な事例を挙げます。


皆さんは、この数は多いと思いますか?それとも少ないと思いますか?また、実際に逮捕者が出ていること、そして懲役刑となっていることに驚きますか?

ベネッセ個人情報流出事件はニュースもにぎわせたので、事件そのものは皆さんご存知かと思いますが、高裁判決で執行猶予無しで懲役2年6ヶ月の判決となっています。東芝NAND型フラッシュメモリ製造技術事件も有名な事件で、執行猶予無しで懲役5年の判決となっています。懲役刑に対しては執行猶予が付く場合が多いですが、社会的な影響が大きい事件は、このように執行猶予が付かない場合もあります。

そして、少し前までは、個人情報等を転売目的で取得、漏えいさせた事件が多いですが、近年では、転職に伴いそれまで在籍していた会社の情報を持ち出す事例が多いようです。もしかすると、このブログを見ている人でも、過去にこのようなことを行った人は居るのではないでしょうか?

営業秘密の漏えいに対する刑事罰は、十年以下の懲役、二千万円以下の罰金です。なお、窃盗罪は十年以下の懲役、五十万円以下の罰金であり、営業秘密の漏えいは窃盗罪より重い罪となっています。
また、営業秘密を日本国外において使用する目的の場合は、十年以下の懲役、三千万円以下の罰金となり、罰金の上限が上がっています。このように、営業秘密を外国企業に漏えいさせたら、さらに重い罪とされています。
そして、営業秘密の漏えいという犯罪行為により生じ、犯罪行為により得た財産等は没収されます。すなわち、営業秘密を漏えいさせて、例え億単位の高額で売り渡したとしても刑事罰が適用されたら、それは国によって没収されます。要するに、没収規定は、刑事罰を受けることを覚悟で営業秘密を漏えいすること、やり得の防止を目的としています。

以上のように、営業秘密の漏えいは、かなり重い犯罪として扱われ、例えば、転職先で有利に仕事を運ぼうとするために転職元の情報を持ち出すと、とんでもないことになる可能性があります。