営業秘密関連ニュース

2018年2月21日(水)
・船橋の不動産業者、資金計画書・土地売買契約書など流出 顧客情報2万6千人分(千葉日報)
・船橋市に本社のある不動産販売会社「レオガーデン」の元社員が今月上旬に約2万6000人分の顧客情報をインターネットに流出させていたことが判明(船橋通信)

・不動産販売会社で2万6000件データ漏洩 外部ストレージにアップロード 千葉・船橋(産経ニュース)

2018年2月13日(月)
・WaymoとUber、自動運転技術めぐる訴訟で和解(CNET Japan)

・米ウーバーがウェイモと和解-株式2.45億ドル相当支払いへ(Bloomberg)
・Uber、Google系列Waymoとの特許訴訟で和解 2億4500万ドル支払い(IT media NEWS)
・中小企業の技術を盗む韓国大企業への「懲罰的損害賠償」、3倍から10倍へ(朝鮮日報)

2018年2月6日(月)
・ウーバーとグーグル系の訴訟、審理始まる 自動運転の知財盗用巡り(日本経済新聞)

2018年2月1日(木)
・韓国から半導体技術を流出した日系法人が警察に逮捕(中央日報)

2018年1月25日(木)
・滋賀県立大 不正アクセス被害 メール閲覧の可能性(毎日新聞)
・滋賀県立大に不正アクセス 168人分個人情報流出(京都新聞)
・<お詫び>不正アクセスによる滋賀県立大学関連の個人情報漏えいについて(滋賀県立大学リリース)

2018年1月22日(月)
・機密情報、別PCなら自動で消去 福井大院生がプログラム研究(福井新聞)

2018年1月15日(月)
・幻冬舎サイトに不正アクセス=9万人の情報流出か (JIJI.com)
・9万人超の個人情報流出?幻冬舎に不正アクセス (読売オンライン)
・幻冬舎サイトに不正アクセス 最大9万3000人の会員情報流出 (産経ニュース)
・幻冬舎の会員情報、9万3千人分が流出か 不正アクセス (朝日新聞)
・メモリ不正アクセスによる会員情報の流出に関するご報告とお詫び(幻冬舎リリース)

2017年7月16日日曜日

営業秘密の3要件:有用性 -特許との関係-

次は、営業秘密の3要件の一つである有用性についてです。

営業秘密は、3要件とは下記の通りです。
①秘密として管理されていること(秘密管理性)
②事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であること(有用性)
③公然と知られていないこと(非公知性)

なお、本記事は、私がパテントに寄稿した「営業秘密における有用性と非公知性について」(パテントvol.70 No.4,p112-p122(2017) を一部抜粋したものを含みます。

有用性について、営業秘密管理指針では「その情報が客観的にみて、事業活動にとって有用であることが必要である。」とされ、さらに「秘密管理性、非公知性要件を満たす情報は、有用性が認められることが通常であり、また、現に事業活動に使用・利用されていることを要するものではない。」とあるように、秘密管理性と非公知性を満たしていれば、比較的認められやすいと考えられます。

また、営業秘密管理指針では「当業者であれば、公知の情報を組み合わせることによって容易に当該営業秘密を作出することができる場合であっても、有用性が失われることはない(特許制度における「進歩性」概念とは無関係)。」とされています。このことは、技術情報を営業秘密として守る場合には、重要な知見でもあると考えられます。

しかしながら、実際の判例では有用性の判断として、特許における進歩性と同様の判断を行った事例があります。




平成20 年の判決であり、営業秘密管理指針の全部改訂よりも前の判決であるものの、発熱セメント体事件(大阪地裁平成20年11月4日判決)です。
この事例において裁判所は、原告が主張する技術情報に対して、証拠として挙げられた公開特許公報に記載の技術よりも「特段の優れた作用効果を奏する」ことを求めて「特段の優れた作用効果を奏すると認めるに足りる証拠はない。」と判断したり「当業者であれば通常の創意工夫の範囲内において適宜に選択する設計的事項にすぎない。」と判断しています。この判断は、公開特許公報に基づいて、さながら、特許における進歩性の判断と同様の判断とも解されます。
このような裁判所の判断は、営業秘密管理指針で述べられている「当業者であれば、公知の情報を組み合わせることによって容易に当該営業秘密を作出することができる場合であっても、有用性が失われることはない(特許制度における「進歩性」概念とは無関係)。」とは相反するものであると考えられます。

発熱セメント体事件のように、技術情報に対して公知技術よりも特段の優れた作用効果を求めることは、技術情報を営業秘密とすることに対してハードルを高いものとする可能性があると考えます。
例えば、企業において特許出願をするにあたり、ある技術の上位概念を明細書に記載する一方で、公開により他社に使用されることを恐れてその技術に関する具体的な数値等はノウハウとして秘匿することが一般的に行われています。しかしながら、発熱セメント体事件のような有用性の判断がされると、自社の公開特許公報に記載された技術に対して特段の作用効果を示さない限り、上記ノウハウを営業秘密として守ることができない事態に陥る可能性があります。

そもそも、上記ノウハウとして秘匿する数値は、それを明細書に記載したところで単なる設計事項と判断され、進歩性を高める可能性が低いこともあり、不要な開示となるために明細書に記載しない場合が多いものです。そうであるならば、上記ノウハウは、公開された特許公報に記載の技術内容に対して、特段の作用効果を奏するものとはなり難いものです。
そして、当該ノウハウを秘密管理していたとしても、競合他社に転職した元従業員が持ち出して競合他社で使用されたとしても有用性が認められない場合には、ノウハウとして秘匿していた企業は営業秘密に基づく差止請求や損害賠償請求が行えないことになります。

すなわち、有用性に対して発熱セメント体事件のような判断が今後もなされるのであれば、上記のように明細書に記載しなかったノウハウを営業秘密として守れないこととになります。もしそうであれば、昨今の営業秘密に対する厳罰化等の流れに反することにもなります。
このようなことから、裁判所における有用性の判断においては、営業秘密管理指針にあるように「当業者であれば、公知の情報を組み合わせることによって容易に当該営業秘密を作出することができる場合であっても、有用性が失われることはない(特許制度における「進歩性」概念とは無関係)。」と同様の判断がなされるべきと考えます。