営業秘密関連ニュース

2020年7月1日

・顧客情報を漏えいした罪 百十四銀行の元行員2人に懲役1年と懲役8カ月を求刑 高松地検(瀬戸内海放送)

2020年6月29日
・<米国>経済スパイで有罪、15年に逮捕・起訴の中国人教授-米連邦地裁(bloomberg)

2020年6月26日
・<米国>トランプ政権のファーウェイ封じ込めに勢い-中国の強権に欧州も反発(bloomberg)

2020年6月25日
・パチスロ設定漏えいし損害与える、容疑の元店員ら逮捕 常総署 「情報漏れている」と相談で捜査(茨城新聞)

2020年6月23日
・先端技術の海外流出防止 政府補助、資金源の開示条件(日経新聞)

2020年6月22日
・「経営戦略を成功に導く知財戦略【実践事例集】」について(特許庁)

2020年6月19日
・<米国>中国ファーウェイ通じ情報流出 元米グーグルCEOが見解(共同通信)
・<米国>ファーウェイ、通信機器通じた中国当局への情報流出を否定(産経新聞)

2020年6月17日
・ソフトバンク機密情報漏えい 元社員に2年求刑 初公判(毎日新聞)
・ソフトバンク元社員、情報漏洩1回20万円 検察側指摘(日経新聞)
・ソフトバンク元社員に懲役2年求刑 ロシア外交官に情報漏えい―東京地裁(JIJI.COM)
・ソフトバンク元社員「役に立ちたくて」 露に情報漏洩、懲役2年求刑(産経新聞)
・SB元社員、起訴内容認める(朝日新聞)

2020年6月16日
・新興企業の知的財産権保護を 大手による無断活用防止―自民提言案(JIJI.COM)

2018年7月5日木曜日

日経新聞社、社員の賃金データと読者情報の漏えいで元社員を刑事告訴

先日、日本経済新聞社が、全社員三千人分の賃金データと34万人分の読者情報を漏えいさせたとして元社員を刑事告訴したとの報道がありました。

報道によると、賃金データは月刊誌を発行する団体に郵送され、この団体が運営するブログに一部が掲載されていたとのこと。そして、元社員は、「働き方改革と言いながらサービス残業をやらせているのはおかしいと思って送った」(参照:日経が元社員を告訴 社員3千人分の賃金データ漏洩容疑(朝日新聞))と証言しているようです。なお、日本経済新聞社は残業代を支払っているとのことです。

この元社員の言い分からすると、もしかするとこ行為は内部告発の一種ではないかとも思えます。
では、内部告発のために企業の営業秘密を漏えいさせることは違法なのでしょうか?


まず、営業秘密の漏えいが刑事罰の対象となるためには「不正の利益を得る目的、又はその保有者にそんがいを加える目的」すなわち図利加害目的の要件が満たされなければなりません。

これに対して、逐条解説 不正競争防止法(商事法務,2016年)の221ページには「図利加害目的にあたらないもの」として「公益の実現を図る目的で、事業者の不正情報を内部告発する行為」が挙げられており、この理由として「内部告発の対象となる事業者の不正な情報は、「営業秘密」としての法的保護の対象とならない上、内部告発は社会公共の利益の増進という公益を図ることを意図するものであるから、このような場合には図利加害目的には当たらないからである。」とあります。

このように、企業の不正を暴く内部告発のために営業秘密を漏えいさせることは図利加害目的ではないため、刑事罰の対象にならないと考えられます。

では、今回の事件はどうなのでしょうか?
元社員の言うように、違法なサービス残業を告発するためであれば、労働基準監督署に告発するべきでしょう。なぜ、月刊誌を発行する団体に送ったのでしょうか?送り先が違うことは新聞社に勤めていなくても分かりそうなものです。
また、元社員は、全社員の賃金データと共に34万人分の読者情報も持ち出していたようです。内部告発のためならば、この読者情報は持ち出す必要が無いはずです。
このようなことから、元社員の行為は内部告発ではなく、図利加害目的を有する営業秘密の漏えいと考えられ、刑事告訴に至ったのだと考えられます。

弁理士による営業秘密関連情報の発信