営業秘密関連ニュース

2019年4月24日
・<米国> GE元エンジニアら2人を産業スパイ罪で起訴 米司法省(朝日新聞)
・<米国> 米司法省、GE元技術者ら産業スパイで起訴 中国政府関与(日本経済新聞)
・<米国> 米、産業スパイでGE元技術者ら起訴 「中国が金銭など支援」(REUTERS)

2019年4月24日
・技術流出防止を大学にも 外国企業との共同研究で(毎日新聞)

2019年4月16日
・韓国子会社の事業撤退=「司法判断に懸念」-半導体関連のフェローテック (JIJI.COM)
・当社韓国連結子会社に対する民事訴訟の提起に関するお知らせ (フェローテック リリース)
・韓国子会社におけるCVD-SiC 事業からの撤退に関するお知らせ (フェローテック リリース)

2019年4月2日
・元日経社員を書類送検 (日経新聞)
・日経新聞元社員を書類送検=賃金データ漏えい容疑-警視庁 (JIJI.COM)
・日経新聞の社員情報3千人分持ち出しか 元社員書類送検 (朝日新聞)

2019年3月25日
・本日の一部報道について(株式会社No.1 リリース)
・他社の顧客情報不正取得疑い No.1取締役ら書類送検 (日経新聞)

2018年12月16日日曜日

「高輪ゲートウェイ」はブランド戦略としては大成功!!

批判渦巻く「高輪ゲートウェイ」ですが、ブランド戦略としては大成功といえるでしょう。それはなぜか?

良くも悪くもこれだけ話題になっているからです。
当初は私も「ゲートウェイ」ってなんだそりゃ?と思いました。
駅名だけならその周辺の地名が一般的に高輪であれば「高輪」でいいでしょう。
他の山手線の駅名とも調和がとれています。
事前の駅名募集でも「高輪」が一位であったとのこともあり、多くの人が納得し、なにより無難です。

しかしながら、駅名を「高輪」としたら、今ほどの話題性はあったでしょうか?
答えは一つです。これほど話題になることはなかったでしょう。
私みたいな地方出身者からすると、あの周辺が高輪という地域であることを認識する程度であり、東京在住の人は想定内の駅名であり、発表時に少々話題になる程度でしょう。
また、上記のように他の山手線の駅名とも調和がとれますが、それはイコール、特徴がないということになります。もし駅名を「高輪」とすると他の山手線の駅名に埋没し、山手線の駅名の一つでしかありません。

ところが「高輪ゲートウェイ」はどうでしょう。
まさに駅名発表から2週間経過しても、反対運動が起きるほどの話題性!!
これほど話題になった駅名発表は過去にあったでしょうか?
確かに、「ゲートウェイ」は何となく言わんとするところは分かるものの、ダサい、カッコ悪い、他に何かあるだろう、との感は私にもあります。
だからこそ、インパクトは絶大でした。
そして、この話題性は単なる「高輪」では得られません。

ここで、駅名の考え方には2つあると考えました。
(1)誰にでも分かりやすい駅名
(2)その周辺地域のブランド価値を高める駅名
「高輪ゲートウェイ」は上記(1)を狙ったものではなく、(2)を狙ったものでしょう。JR東日本は「高輪ゲートウェイ」とした理由を下記のように説明しています。

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この地域は、古来より街道が通じ江戸の玄関口として賑わいをみせた地であり、明治時代には地域をつなぐ鉄道が開通した由緒あるエリアという歴史的背景を持っています。 新しい街は、世界中から先進的な企業と人材が集う国際交流拠点の形成を目指しており、 新駅はこの地域の歴史を受け継ぎ、今後も交流拠点としての機能を担うことになります。
新しい駅が、過去と未来、日本と世界、そして多くの人々をつなぐ結節点として、街全体の発展に寄与するよう選定しました。 (JR東日本ニュース 田町~品川駅間の新駅の駅名決定について
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このように、「高輪ゲートウェイ」は、その周辺のブランド価値を高めることを意識して決定された駅名でしょう。
ところが、ブランド戦略の一環として駅名を「高輪」にしていたら、それは第1段階としては失敗でしょう。その理由は、上述のように、駅名が無難すぎてインパクトがなく、話題性に欠けるからです。多くの人が予想可能な駅名であるから当然ですね。駅名発表のときに少々話題になる程度であり、駅開業になったときに、多くの人が「ああ高輪って駅名だったね」という程度の印象でしょう。

 

ブランドを構築する場合、まずはそのブランドを消費者に印象付けなければなりません。
企業等が「ブランド」といわれるものを作る場合、一番最初の壁はこれでしょう。「ブランド」とするものを作ったとしても、そのほとんどは消費者の目に留まることなく消滅しているのではないでしょうか。
その点、「高輪ゲートウェイ」は良くも悪くも多くの人に印象付きました。
しばらくすると、何となく忘れ去られるでしょうが、開業が近づくとその是非と共に再び話題になることは必至でしょう。

また、商標でいうところの外観、称呼、観念の考え方からしても「高輪ゲートウェイ」はオリジナリティの高い名称であり、自他商品等識別能力が高いと考えられます。
具体的には、外観は見た目ですが、山手線の他の駅名にはないカタカナが用いられているように、外観が他の駅名とは異なります。山手線の路線名の一覧表示をした場合にはより目立つことでしょう。
また、称呼は読み方ですが、「タカナワゲートウェイ」は文字数が多く、かつ「タカナワ」と「ゲートウェイ」の二つに分けて読むこともでき、これも他の駅名とは異なります。
そして、観念は商標から想起されるイメージですが、高輪という地名と共にゲートウェイが持つ異なるモノを結び付けるといったイメージでしょうか?それを想起させることになります。
これらのことから、「高輪ゲートウェイ」という名称は、商標という視点からも、他の駅名とは十二分に差別化されたオリジナリティの高い駅名であるといえます。

一方で、ブランド戦略としての駅名を「高輪」とすることも当然考えられます。
その理由は、分かりやすく、多くの人に共感を得られるからです。
ここで、私は、ブランド名や商品名として分かりやすさや共感の得やすさ、具体的には商品やサービス、これらのイメージを想起しやすい名称とすることが重要だと思います。
しかしながら、このようなコンセプトでブランド名や商品名を作ると、意外性やインパクトに欠けるため、数多ある同様のコンセプトの他の商品名やサービス名との差別化が難しい名称になる可能性があります。

すなわち、分かりやすさや共感の得やすさを想起させるブランド名や商品名は、今までにない新しいコンセプトのブランドや商品にこそ適していると考えます。
具体的には、このブログの名称「営業秘密ラボ」です。
私は、営業秘密に特化したブログやホームページがないことを確認し、差別化という要素は不要であると考え、分かりやすさを重視してこの名称にしました。営業秘密+ラボとした名称によって営業秘密のことを研究しているブログだろうということは分かっていただけるかと思います。
一方で、この「営業秘密ラボ」という名称は意外性もなくインパクトがある名称とは言い難いため、印象に残るものとは言い難いでしょう。このインパクトがない名称が今後マイナスとなる可能性もあります。すなわち、類似するコンセプトのブログ等が他に現れた場合に、どのような結果になるのか?もし、営業秘密に特化したブログ等が現れれば、それらの中に埋没する可能性は十分にあります(それはそれで知財業界に営業秘密が広まった結果であり、良いことですが)。

「高輪」に話を戻します。
高輪はその地域の名称そのもののですから、分かりやすく共感を得やすい一方、地域の名称を駅名とすることは一般的であるため、インパクトはありません。駅名という機能を発揮させることだけを意識すれば、「高輪」という名称のみは良いかもしれません。しかしながら、ブランドを意識した場合にはやはり良くないかと思います。一般的な名称である「高輪」を地域の名称から昇華させ、ブランドとして人々に認識・浸透させるまでに時間を要すると考えられるためです。

一方で、「ゲートウェイ」という名称を付加したことにより、今のところ良いとは言い難いイメージを持つ人が多いかと思います。しかしながら、これはさほど問題ではないでしょう。
ブランドは名称だけでその価値が決まるものではありません。当然ながらその中身である、商品やサービスに価値があります。中身に価値があれば、その名称に対する当初の一時的なイメージは全く問題になりません。

その一例として「モーニング娘。」が挙げられるでしょう。私が学生の時に「モーニング娘。」がデビューしましたが、アイドルに疎い私ですらその名称はどうかと思いましたし、メンバーですら衝撃を受けていたと思います。挙句、発表時には読点「。」を最後につくのかどうかすらお笑いネタのように扱われていたように記憶しています。
しかしながら、その後の活躍は説明するまでもなく、「モーニング娘。」の名称は多くの人に強く印象付き、若年層のあこがれの存在となり、未だにメンバーを変えて存続しています。さらには、「モーニング娘。」とは関係がない名称の末尾に「。」をつけたものも現れたように思います。

これと同様に、批判の渦中にある「高輪ゲートウェイ」は名称が発表されただけであり、今からその中身を作っていくわけです。
その中身、具体的には駅舎やその駅周辺地域の街づくり、これらは今現在JR東日本が建設中かと思いますが、その街の印象、駅ビルに入居するテナント、公共設備、こういったモノを「ゲートウェイ」という名称が人々に与える観念とマッチさせることができれば、ブランド構築の第2段階は成功でしょう。そして、そのブランドイメージを長期にわたり維持し、継続できればブランド構築の第3段階が成功となります。
成功の暁には、末尾に「ゲートウェイ」をつけた他の名称すら現れるでしょう。

このような地域の名称を新しく作り、その名称がその地域とマッチし、強いブランドイメージの構築に成功している場所としては、横浜の「みなとみらい」が挙げられます。
実際に「みなとみらい」駅は東急電鉄の路線にあります。
そして、この「みなとみらい」地区は海に面して横浜開港の歴史と共に、「みらい」を感じさせる高層ビルも立ち並び、観光客を呼び込める商業施設と山下公園という公共施設も近くにあり、日本においてもここにしかないブランドイメージの構築に成功しています。

以上のように私は、「高輪ゲートウェイ」はブランド構築という意味において、少なくとも「高輪」に比べて良い名称だと思います。そして、今後駅周辺の街づくりによっては、強いブランドイメージを構築できる可能性のある名称であるとも思います。
このため、JR東日本は、この地域に新たなブランド構築を目指すのであれば、批判に負けて名称変更などすることなく、「高輪ゲートウェイ」を維持するべきでしょう。


ところで、ここまでの本記事では「営業秘密ラボ」の名称について触れたものの、営業秘密については述べておりません。このブログは上記のように営業秘密のみを扱うことをコンセプトとしていますので、これで終わると、単に時事ネタに乗っかっただけになります。このため、このコンセプトを貫くためには「高輪ゲートウェイ」と営業秘密とを無理やりにでもつなげる必要があります。

そこで考えるに「高輪ゲートウェイ」という名称はこれを発表するまでは営業秘密として厳密に管理していたと考えられ、その管理は成功したといえるでしょう。
「高輪ゲートウェイ」の発表に伴い人々に強いインパクトを与えるためには、事前にその情報が洩れることがあってはなりません。もし、発表前にインターネット等で話題になってしまえばインパクトが弱くなるだけでなく、巻き起こる批判に耐えかねて無難な名称に変更した可能性すらあります。そうなってしまえば、おそらく批判も覚悟のうえで決定したであろう「高輪ゲートウェイ」が水泡に帰してしまいます。

また、JR東日本社内でもこの決定はごく少数の社員のみしか関与していなかったのではないでしょうか。多くの社員が関与すれば多くの意見が集まるでしょうが、最終的に決定される名称は最大公約数的な無難なもの例えば「高輪」になったでしょう。
このような企業として重要であり、また外部に与える影響も大きい決定に対しては、その決定にかかわる担当者や有識者等やプロセスも必要最低限の情報だけを公開し、可能な限り秘密とするべきであることを今回の件で考えさせられました。

上記のように、批判が想定される重大な決定に対しては、多くの無難な意見を排除する必要があります。
現在では、ありとあらゆる商品やサービスが開発・提供され、人目を惹く新しいものは生まれにくいものです。そうすると、他の商品やサービスとの差別化を行うためには、名称等のインパクトも重要です。実際に、TVCM等はインパクトの強さを狙ったものも多くあります。
しかしながら、インパクトの強い名称は、一見して受け入れ難く、否定され易い傾向にもあるでしょう。その否定を恐れると、無難な名称になり、結果的に多くある他の商品やサービスに埋没する可能性が高くなります。そして、否定する人は、社内、社外にかかわらず、責任を有しない人たちです。責任を有する人たちは、失敗を恐れて無難な答えを出すかもしれません。
このためインパクトの強い意欲的な名称を求めたいのであれば、外野の意見を排除するためにも少人数で極秘裏に決定するということも重要なプロセスであるかと思います。

また、今回のJR東日本の決定は、失敗を恐れない英断であったと思います。駅名を「高輪」に決定すれば、駅名としては失敗はないでしょう。しかしながら、ブランド構築としての成功はどうでしょうか?
一方で、「高輪ゲートウェイ」はブランド構築に失敗した場合には、様々な人からさらに大きな批判を受けることは想像に難くありません。しかしながら、失敗を恐れずに「高輪ゲートウェイ」に決定したことは、「失敗を許さない」といわれる現在の社会や企業においてそれだけで称賛に値し、見習うべきことは大きいのではないでしょうか?

弁理士による営業秘密関連情報の発信