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<オンライン開催 10月9日>大阪発明協会 技術情報を営業秘密として守るための実務と事例研究 (参加申し込み受付中)

2020年7月17日金曜日

ソフトバンクスパイ事件の判決

先週、ソフトバンクスパイ事件(刑事事件)の一審判決が言い渡されました。
犯人である元従業員は懲役2年、執行猶予4年、罰金100万円となりました。
控訴する可能性もあるでしょうが、もし控訴しても判決は大きく変わらないと思います。

ところで、この判決は、過去の刑事事件の判決と比べても、重くもなく軽くもなく、というところでしょうか。
報道等の扱いは、ロシアの元外交官が関与しており、まさにスパイ事件の様相を有する特殊性から他の営業秘密事件に比べても多かった事件ですが、例えば、同様に報道が多かったベネッセ個人情報流出事件に比べると軽い判決かと思います。
この違いは、やはり持ち出された営業秘密の内容によるものでしょう。
ソフトバンクスパイ事件では、通信設備に関する情報が持ち出されているものの、おそらく、ソフトバンクは実質的な損害を受けていないのではないでしょうか。一方で、ベネッセの事件では、その対応費用も含めてベネッセの収益に大きな影響を与えました。


なお、今回の事件では、営業秘密の持ち出し方法についても裁判で明らかになったようです。
その持ち出し方法とは、営業秘密を表示させたモニタをデジタルカメラで撮影するという方法のようです。確かに、この方法では、当該情報をUSBに出力したり、印刷、又はメール送信ということはないので、アクセスログしか残りません。このため、営業秘密の持ち出しが発覚し難いこととなるでしょう。

また、元従業員は報酬として1回あたり20万円を受け取っていたようです。
この元従業員は、在職中はモバイルIT推進本部の統括部長という地位にあったことを鑑みると、全く割に合わない行為だったことは明らかでしょう。

さらに、この事件の特徴は、営業秘密を受け取った人物は特定されているものの、在日ロシア通商代表部の元外交官であり、この人物は既に出国し、再入国することもないであろうことから、不起訴となっている点でしょう。
営業秘密は外国人の手に渡ることも多々あるかと思いますが、その場合、犯人の逮捕には限界があり、かつ、持ち出された情報が他国で開示、使用される場合にはそれを止める手立てが実質的に存在しません。
このことは、企業として十分に認識するべきではないでしょうか。

弁理士による営業秘密関連情報の発信