お知らせ

2021年9月17日
知財実務オンライン(youtube)で「知財戦略カスケードダウンと三方一選択」と題して、このブログでも提案している知財戦略についてお話させていただきました。

2021年8月9日月曜日

色々雑多に

今回は営業秘密について雑多に書こうかと思います。

(1)大阪発明協会での講演が終了しました。
8/6(金)に大阪発明協会での「技術情報を営業秘密として守るための事例研究と知財戦略」と題したオンラインによる講演を行いました。参加していただいた方々、3時間の長い時間でしたがありがとうございました。
大阪発明協会での講演は去年に引き続き2回目です。毎年このような機会を頂けることは非常にうれしいです。
今年は知財戦略カスケードダウンについてもお話しさせていただきました。来年はもしコロナが収束傾向にありオフラインでの公演が可能ならば、知財戦略に絡んだ課題・ディスカッションを参加者の方々に行ってもらえればと思っていたりもします。

(2)平成27年の法改正による追加された海外重罰の影響?
営業秘密に関する刑事事件について、もしかしたら厳罰化の傾向にあるのかもしれません。
営業秘密侵害事件のほとんどは、被告に対して執行猶予が付きます(営業秘密を用いた詐欺事件等は別ですが)。
しかしながら、下記表のように東芝半導体製造技術漏洩事件やベネッセ個人情報流出事件のように営業秘密保有企業の損害が莫大となった場合には執行猶予がつかない実刑判決となった例もあります。
ところが、富士精工営業秘密流出事件やNISSHAスマホ情報漏洩事件は、東芝やベネッセほどの損害が出ていないにも関わらず、執行猶予がつかない実刑判決となっています。この理由はもしかしたら、営業秘密の漏えい先が海外(中国)だからかもしれません。
平成27年の不正競争防止法改正では、海外へ営業秘密を漏えいした場合には罰金が三千万円以下(国内ならば二千万円)とする海外重罰の規定が新たに設けられました(法人は10億円)。下記表から分かるように、この三千万円や10億円といった高額な罰金となった例はありません。
一方で、平成27年以降、上述のように、海外へ営業秘密を漏えいさせた場合に執行猶予がつかない実刑判決となる例が2つほどあります。執行猶予が使いない判決が共に中国への流出であったことは偶然でしょうか?これは、海外重罰の規定が設けられた影響なのかもしれません。
ちなみに、8月18日には積水化学の元社員が中国企業に営業秘密を漏えいした事件の地裁判決が言い渡されます。検察は懲役2年を求刑していますが、果たして執行猶予は付くのでしょうか?


(3)営業秘密の民事訴訟で初めて最高裁まで争われた?
今まで、営業秘密の民事訴訟で最高裁まで争った裁判はなかったのですが、最近になって最高裁まで争った裁判「令和2年11月19日 最高裁第一小法廷 令2(オ)923号」がありました。なお、この判決は、上告棄却となっています。
この判決における営業秘密は技術情報であり、被告会社による営業秘密不正利用及び営業誹謗行為によって原告製品の売り上げ減少したとして、個人の被告と被告会社が連帯して3億2560万円の損害賠償が認定されています。
一審判決は本ブログでも紹介しています。

(4)データ管理の再委託先である中国企業からの情報漏えい
先日、村田製作所から委託を受けた日本IBMの再委託先の中国法人社員によって村田製作所の情報が持ち出されたとの報道がありました。このような懸念は以前からあり、それが現実のものとして表面化したということでしょう。

海外企業にデータ管理を委託又は再委託している企業も少なからずあることでしょう。そういった企業にとっては気になるニュースかと思います。
また、中国法人の社員が漏えいさせたようであり、おそらく情報漏えいは中国国内で行われたのでしょう。この事件について、村田製作所は刑事又は民事で事件化するとの報道は見受けられませんが、もし営業秘密侵害で事件化しようとしたら、日本の不競法は適用できず、中国の法律が適用されるのでしょう。
大企業にとっては海外で訴訟することはさほどハードルは高くないかもしれませんが、中小企業であったらどうでしょうか?費用対効果を考えると、難しいかもしれません。

弁理士による営業秘密関連情報の発信