特徴1:営業秘密の不正開示や不正使用等は刑事罰を伴う不法行為であるという特徴。
特徴2:特に技術情報は知的財産であるという特徴。
特徴1は、ビジネスに携わる人であれば必ず知る必要があります。
過去には競合企業の営業秘密を取得することが好ましいとしていたかもしれませんが、現在では不正競争防止法によって、他社の営業秘密を取得し、開示や使用すると拘禁刑が課される犯罪行為となる可能性があります。 さらに、営業秘密を不正使用した者にも刑事罰が課される可能性があります。たとえ上司の指示により仕事の一貫として行ったとしてもです。
なお、このような法律の存在は家庭ではもちろん、学校でも教えてもらうことはほぼないでしょう。そうすると、営業秘密侵害はビジネス上のリスクとして企業が自社の従業員等に周知する必要があります。
また、企業も自社の営業秘密の不正流出だけでなく、自社への他社の営業秘密の不正流入も意識する必要があります。仮に自社が他社の営業秘密を侵害すると、自社が刑事罰を受けるだけでなく、上記のように自社の従業員が刑事罰を受ける可能性があります。
このため、企業は、自社の営業秘密が不正に持ち出されないように管理したり、他社の営業秘密が自社に不正に流入することを防止する必要があります。
一方で、営業秘密は特徴2のように知的財産としての側面もあります。
技術情報を営業秘密とする理由は、自社で創出した新規な技術を他社に知られないようにするためです。これは、技術を公開することを前提とした特許権を取得することとは相反することになります。
ここで、技術情報を営業秘密にし続けるためには、非公知性という要件が必要です。しかしながら、従業員等が不注意により自ら営業秘密であるはずの技術情報を公知にしてしまう場合があります(不注意による営業秘密の開示は犯罪行為にはなりません。)。
たとえば、秘密としているはずの技術情報を営業活動や工場見学等で他社に話してしまったり、ホームページで公開してしまったり、同様の技術開発を行っていた他部門が特許出願をしてしまう行為です。そして、公知となった情報を再び非公知にすることはできません。
このため、技術情報を営業秘密とし続けるためには、非公知性を保つ管理が非常に重要となります。
この非公知性を保つ管理は、特徴1のような自社の営業秘密が不正に持ち出されないように管理することとは異なります。非公知性を保つ管理のためには、当該営業秘密に関係のある従業員にその内容を認識、理解してもらい、かつ営業秘密として保つためには非公知性を満たし続けないといけないことも認識してもらう必要があります。
しかしながら、例えば、取り引き先の営業の最中に自社の独自技術をアピールするがあまり、営業秘密を取引先に話してしまったり、取引先からの誘導に乗ってしまい、営業秘密をつい話してしまう可能性もあるでしょう。このような事態を避けるためには、例えば、取引先との会話の想定を行い、何を話したり見せたりしてよいのか、何を話したり見せたりしてはいけないのかを予め決めておくべきかと思います。
一方で、このような非公知性を保つための活動にどこまで時間と労力を使うのかという課題も生じます。
例えば、近年は転職が一般的であり中途採用者が多く入社します。技術系や営業系の中途採用者に自社の営業秘密とする技術情報を逐一理解、認識してもらうのか?果たしてそれは現実的なのか?
営業秘密の管理において、そのような課題も出てくるのではないでしょうか?
このように、営業秘密の管理は案外難しいのではないかと思います。
そうであれば、技術の公開という代償があるものの、営業秘密に比べて管理が楽であろう特許権を取得するという判断もあるのではないかと思います。
弁理士による営業秘密関連情報の発信
