2017年9月7日木曜日

営業秘密が流行るタイミング

最近、営業秘密に関する古い本をネットでいくつか購入しました。
1冊200~300円のものを数冊。
古い書籍は、当然現在の法改正に対応していないものの、それを理解していれば、情報を“安く”仕入れることができます。
また、営業秘密が法的に保護されるようになった当時の状況も知ることができるかな?との思いもあり、購入しました。

そこで気が付いたこと。
10年ぐらい前にも「営業秘密」がちょっと流行ったんだな、ということ。
10年前というと、2006年前後ですが、このころは、平成15(2003)年法改正によって営業秘密の刑事的保護が規定され,平成17(2005)年法改正により営業秘密の刑事的保護が強化されてます。さらに、法改正に合わせて、営業秘密管理指針が一部改訂されてます。
これに合わせて出版されたと思われる書籍が複数ありました。

ちょうど、平成27年の不競法の法改正によって、営業秘密の刑事的保護がさらに強化され、営業秘密管理指針が全部改訂になったときと同じ感じですね。
このときも、営業秘密に関する書籍が多く出版されていると思います。
私も平成27年の法改正から営業秘密に興味を持った一人ですが・・・。

しかしながら、企業における現在の知財管理の状況を鑑みるに、10年前の“流行”では、営業秘密管理はさほど浸透しなかったようですね。
下記図のように、10年ちょっと前から既に特許出願件数は減っていますが、これは2000年前後の特許出願の“流行”の反動もあったでしょうから、企業が積極的に技術を非開示する傾向ではなかったのかもしれません。
また、転職も今ほど多くはなかったかもしれませんし、派遣社員や契約社員の数も今ほど多くなかったはずです。


しかしながら、10年前と現在とでは、雇用状況も異なりますし、特にリーマンショックを機に特許出願件数がさらに減少していることを鑑みると、企業が秘密とする情報量も多くなっているはずです。
さらに、大容量記憶媒体の性能向上・低価格化、ネットワークの通信速度の向上等、サイズの大きなデジタルデータを容易に持ち運べるようになっています。

これらのことから、現在は10年前に比べて、営業秘密を持ち出される又は持ち込まれるリスクが全く違うと思われます。
そして、営業秘密に関する対応を適切に行っていない企業は、トラブルに巻き込まれる可能性が必然的に高まるのではないでしょうか。