2025年11月16日日曜日

引っ越しに関する顧客リストを同業の転職先企業に持ち出した刑事事件

先日、引っ越しに関する顧客リストを同業の転職先企業に持ち出したとして、4人も逮捕され、転職先企業も書類送検されたという事件がありました。 営業秘密侵害の刑事事件において、一度に4人が逮捕される事件はあまり多くないかと思われます。

この事件は、転職先企業の代表者が被害企業の元社員に対して、営業秘密である顧客リストの不正な持ち出しを指示し、この元社員が転職先企業に転職したというものです。
そして、持ち出した顧客リストを転職先企業内で開示し、使用していたようです。


顧客リストは、被害企業内においてパソコン画面に表示された顧客リストをスマートフォンで撮影して持ち出したとのことです。このような持ち出し方法は、顧客リストを不正に持ち出したことを検知されないためとも考えられます。
なお、カメラで撮影して営業秘密を不正に取得することは、営業秘密を不正に複製して持ち出すことであり、今回逮捕されたように当然違法行為です。

また、逮捕された社長の他の3人は被害企業の元従業員であり、一人は顧客情報を不正に持ち出した者のようですが、残りの2人はどのような理由で逮捕されたのかは報道からはよく分かりませんでした。
仮に転職先企業内で顧客リストを不正に使用等したという理由なのであれば、この事件も回転寿司チェーン店事件における元部長と同じ状態なのかもしれません。

なお、逮捕されたとしても不起訴となる可能性も高いので、この事件の詳細は今後分からないかもしれません。しかしながら、不起訴となっても、既に氏名が報道されている者もいます。
このようなことを防ぐためにも、営業秘密侵害は、犯罪であることはもっと広く認識されるべきでしょう。

弁理士による営業秘密関連情報の発信