2017年9月12日火曜日

新潮と文春の中吊り広告に関する問題の顛末

このブログを始めたころに、新潮と文春との間で中吊り広告に関する問題が起きました。
具体的には、「印刷会社から取次会社に渡された週刊新潮の電車中刷り広告を文春が取得し、使用したのでは?」というものです。

営業秘密にも絡んでそうな話題だったので、本ブログでもこれに飛び着き、下記のように複数回記事にしています(その1は殆ど関係ない話題です。)。

参考過去ブログ:
週刊新潮の「『文春砲』汚れた銃弾」その2
週刊新潮の「『文春砲』汚れた銃弾」その3
週刊新潮の「『文春砲』汚れた銃弾」その4
週刊新潮の「『文春砲』汚れた銃弾」その5
週刊新潮の「『文春砲』汚れた銃弾」その6(まとめ)

私としては、中吊り広告が取次会社でも“秘密管理”されていない限り、新潮は営業秘密の侵害という不法行為を文春に問うことはできないと考えています。



そして、この問題に関しては、文藝春秋の社長が新潮社を訪れ、謝罪文書を手渡すことで、一件落着したようです。
参考:NHKニュース
問題発覚が5月ですが、文藝春秋もこれまで放置していたわけではなく、おそらく新潮社が納得いくような落としどころを互いに模索していたのではないでしょうか?

ニュースを見る限り、「中吊り広告を長期にわたり借り受け」とのように、違法行為とは取られないような表現を使っているところが面白い、というか常套手段ですね。
また、このニュースでは、「週刊新潮が同じような内容の記事を掲載することを知りながら、あたかも週刊文春の独自スクープであるかのような速報をWEBサイト上で先に流した事例があったことを認め、これについても謝罪しています。」とも報じられているように、文藝春秋が全面的に非を認め謝罪しています。

このように、他社の情報を不正に取得した場合は、例え、民事や刑事事件に発展しなくても、朝日新聞出版の件でもあったように、社を挙げての謝罪に追い込まれる可能性があります。
いや、民事・刑事事件に発展させないために、謝罪するのかもしれません。

一昔前は、他社が秘密にしている情報を取得し、それを利用することが当たりまえであり、従業員もそれを求められていたかもしれません。
しかしながら、今の時代では、他社が秘密にしているであろう情報を容易に取得できる状況にあっても、それを取得して利用することは許されないことであることを各企業,
特に経営層は認識するべき事項であると思われます。

2017年9月7日木曜日

営業秘密が流行るタイミング

最近、営業秘密に関する古い本をネットでいくつか購入しました。
1冊200~300円のものを数冊。
古い書籍は、当然現在の法改正に対応していないものの、それを理解していれば、情報を“安く”仕入れることができます。
また、営業秘密が法的に保護されるようになった当時の状況も知ることができるかな?との思いもあり、購入しました。

そこで気が付いたこと。
10年ぐらい前にも「営業秘密」がちょっと流行ったんだな、ということ。
10年前というと、2006年前後ですが、このころは、平成15(2003)年法改正によって営業秘密の刑事的保護が規定され,平成17(2005)年法改正により営業秘密の刑事的保護が強化されてます。さらに、法改正に合わせて、営業秘密管理指針が一部改訂されてます。
これに合わせて出版されたと思われる書籍が複数ありました。

ちょうど、平成27年の不競法の法改正によって、営業秘密の刑事的保護がさらに強化され、営業秘密管理指針が全部改訂になったときと同じ感じですね。
このときも、営業秘密に関する書籍が多く出版されていると思います。
私も平成27年の法改正から営業秘密に興味を持った一人ですが・・・。

しかしながら、企業における現在の知財管理の状況を鑑みるに、10年前の“流行”では、営業秘密管理はさほど浸透しなかったようですね。
下記図のように、10年ちょっと前から既に特許出願件数は減っていますが、これは2000年前後の特許出願の“流行”の反動もあったでしょうから、企業が積極的に技術を非開示する傾向ではなかったのかもしれません。
また、転職も今ほど多くはなかったかもしれませんし、派遣社員や契約社員の数も今ほど多くなかったはずです。


しかしながら、10年前と現在とでは、雇用状況も異なりますし、特にリーマンショックを機に特許出願件数がさらに減少していることを鑑みると、企業が秘密とする情報量も多くなっているはずです。
さらに、大容量記憶媒体の性能向上・低価格化、ネットワークの通信速度の向上等、サイズの大きなデジタルデータを容易に持ち運べるようになっています。

これらのことから、現在は10年前に比べて、営業秘密を持ち出される又は持ち込まれるリスクが全く違うと思われます。
そして、営業秘密に関する対応を適切に行っていない企業は、トラブルに巻き込まれる可能性が必然的に高まるのではないでしょうか。

2017年9月5日火曜日

10月17日に横浜で営業秘密セミナーを開催します。

10月17日に下記のように、営業秘密のセミナーを横浜で開催しようと思います。
3枚目のjpgをプリントアウトしてFAXして頂いても構いませんし、私宛にメールで応募していただいても構いません。

私が営業秘密の概要を説明し、弁護士である高尾先生が営業秘密に関する契約等について話して頂く予定です。

ご興味のある方は、ぜひご参加ください。