2018年12月27日木曜日

営業秘密の刑事事件続報2件

先日、営業秘密の刑事事件についての続報が2件ありました。

一つは、海外重罰規定が適用と報道された事件(光ファイバー技術漏洩事件)です。
・不正入手技術を中国で使用疑い 重罰規定初適用、追送検 神奈川(産経新聞)
・企業秘密の設計図、海外で使った疑い 会社役員を追送検(朝日新聞)
・独自技術を中国で使用疑い 海外重罰規定を初適用 (日経新聞)

この事件は、10月に逮捕された容疑者を追送検したものです。
・光ファイバー技術漏出の疑い、元精密部品会社員ら逮捕へ(朝日新聞)

なお、私は、中国人に営業秘密を渡していたOSG営業秘密流出事件も海外重罰の適用があったと思っていましたが、そうではないようですね。
参考ブログ記事:OSG営業秘密流出事件判決

このOSG営業秘密流出事件と今回の事件との違いは、OSG営業秘密流出事件では容疑者が中国人に渡す目的であったという自供のみである一方、光ファイバー技術漏洩事件では実際に中国で営業秘密を使用していたことが確認されたということでしょうか。

果たして、この事件の判決において海外重罰の規定により、被告の懲役刑がどの程度になるのでしょうか。


もう一つの事件は、日本ペイントデータ流出事件です。この事件は、日本ペイントの元執行役員が菊水化学へ転職する際に、日本ペイントの営業秘密(塗料製品の原料や配合量の情報)を持ち出し、菊水化学で開示・使用したというものです。

・菊水化学元常務が無罪主張 塗料データ漏洩事件で初公判 (日本経済新聞)
・日本ペイント情報漏えい、元社員「やっていない」 初公判で無罪主張(毎日新聞)
・塗料の機密情報を転職先のライバル会社に渡した罪 64歳男が初公判で無罪を主張 名古屋(FNN PRIME)
・営業秘密不正開示の罪、無罪を主張 名古屋地裁(CHUKYO TV NEWS)
・秘密漏えい、無罪主張=転職先に製品情報の被告-名古屋地裁(JIJI.COM)

被告である日本ペイントの元執行役員は、初公判で無罪を主張しています。
その具体的な内容は、塗料の原料や配合量の情報は特許公報等により公知となっているというものであり、営業秘密でいうところの非公知性又は有用性を争っていると考えられます。
また、日経新聞の記事によると「製品の分析によっておおよそ見当がつくはずだ」とも主張しており、自社製品のリバースエンジニアリングによる非公知性喪失にも主張しているようです。

技術情報に係る営業秘密では、刑事事件においてもこのように技術論に関する主張を行う可能性が高いでしょう。
この場合に、刑事事件を扱う裁判所がどのように判断するのか興味深いものです。

弁理士による営業秘密関連情報の発信